亜空間プロ野球

 日本プロ野球ではまもなくオールスターゲームが始まるらしいのですが、今ではすっかり人が運動している姿に興味が無くなってしまったのでよくわかりません。小さい頃「僕も大人になったらシマパン・ランニング、冷房は扇風機と団扇でビール片手に『日本の夏だ〜』とかのたまう大人になるのかな」などとは一度も思ったことがないのでその意味では私の人生結構順調です。
 阪急ブレーブスのユニホーム、パンツの部分を思い出してみる。横側、腰から足まで赤二本の間に黒一本の血管のような線。子供の頃はあれが有名なタテジマかと思ったものです。どう見てもタテジマとは言わんだろう。阪急と言えば本拠地西宮球場、以外にもホームで優勝決めたのは一度だけだとのこと。この実物を一度も見たことがないこの球場の印象は、ブレーブスがどんなに強くても、西宮駅で誰かが飛び込んで阪急電車が止まってもまず満員になることはないという球場。当時関東以北の小学生は未だに甲子園球場大阪府にあると信じている子も多く、同じ兵庫県内の西宮球場に至っては存在も知らない子も多かった。周りではパリーグ西武球場でのみゲームをしていると思っている子が多かった。兵庫のお隣大阪です。大阪には本拠を持つ球団が2つ、南海ホークス近鉄バファローズです。どーでも良いが現在のワープロでは「南海」と打つと予測候補に「キャンディーズ」と出てくる。「南海」と言えば「ホークス」に決まっておろうが! 
 両方同リーグ、南海×近鉄戦と言えば伝説の大阪対決。似たようなゲームがサッカーでさいたまダービーとかあるらしいのですが、聞くところによるとその無駄なアツさたるやそんなものメではなかったらしい。「かったーかったーまたかったーよわいきんてつにまたかったーきんてつでんしゃではよかえれ!」の有名なヤジは小学校の頃、大阪から引っ越してきた巨人ファンの子が語る大阪球場で見聞きしてきたという情報で大阪球場という野球場が存在してパリーグ西武球場以外でも試合をしていて大阪球場のデーゲームには酒飲んだオヤジしか観に来ていないという衝撃的なお話しで、僕が初めて大人の階段をほんの一段だけ昇った記念すべきお話しである。
 「酒飲んだオヤジしか居ない大阪場」が西にあれば東には絶対に「テレビで見れない川崎劇場」が並ぶものない素晴らしい球場。6球団あるはずのパ・リーグフランチャイズをどうやっても5カ所しか見つけることが出来なかったあの頃、ナイター終了時間を全く考慮しない武蔵野線に乗っていくのは物凄くリスキーになる熱パ少年にとって都市部にある川崎球場はほぼ唯一都市部で西武ライオンズの試合を観ることの出来る球場で、喜び勇んで行ったはよいが、球場に足を運ぶのはみんなオヤジみんなゲタ履き、交通機関はみんな自転車、この球場のドレスコードに遠くから来た人間の居づらさはそのまま川崎市という都市の持つ空気だったのかと後年になってロフトプラスワンで聞いた平山夢明先生のお話しから繋がった次第です。
 「がむくってへこいてはよかえれ」パ・リーグ少数派の食品会社へも大阪球場のホークスファンは容赦しない。が、やはり少数の分だけ語幹が悪い気もしないではなく、どうせなら6球団全部鉄道系にしてしまえばよかったのに。ならば栄えある川崎球場を与えられる栄光の鉄道会社は文句なく京急、名前も「京急オリオンズ」でほらぴったり。イメージカラーは当然の如く全赤の勇士達は貧弱な打線を足で稼ぐから「京急スタイル」、だから落合いらない。頭の先からつま先まで全部赤。10、19近鉄戦は双方赤。走塁妨害の抗議に真っ赤な有藤道世が真っ先に飛び出す。コワイよね。執拗な抗議に対してはこのヤジの威力が最も発揮「けーきゅーでんしゃではよかえれ!」 本当にハヨ帰れてしまうところにこの球団の本当の恐ろしさがあるのです。10,19のおかげで増員倍増、儲けたお金で球場改修、直したとこは全部赤。トイレも赤。親会社もアレじゃないから監督も選手もアレはいない。アカいけど。だからキャッチフレーズはこう「テレビでは放送することができない川崎劇場」。もうまもなく総選挙です。