手術記のようなモノ その2

 気付いたら終わっていました。夢も見ない。そんなもんです。
 目覚めて両親(?)の声。「痰を出せ」。ノドに意識を向けるとかなりの違和感。喉だけでなく体のあちこちにいろいろな管。まあ、どんなに管付いてようが体動かせないうちはあんま関係ないけど。ただし鼻から通して射に至る喉の管(マーゲンチューブ?)だけはホントにいただけない。この日は術後すぐで意識も朦朧としているのでそんなに気にはならなかったのだが、むしろ明日以降、この管が鉄を侵す酸のようにじわじわとと効いてくることになる。
 ところで冒頭に述べた「痰を出せ」なぜことさら強調するのかというと、全麻食らって全身状態下がっているので体の各機能がうまく働かない。当然肺の排痰機能も衰えていて痰が肺にたまっていとも簡単に肺炎になってしまう。肺だけでなく、年齢関係なく褥瘡になる、廃用症候群になる、時間的にはしばらく経ってからだが腸閉塞になる、とにかく出来るだけ早く体を元の働きに近づけられるようにしなければいけない。「そのために明日から歩きますよ」看護師が明るく説明する。とにかく歩かなければいけないことは、ベット上、満足に寝返りも出来ない状態で「怠った場合」の恐怖を刷り込まれ、明日以降、治療への強い意欲への糧になる。ところで気のせいでなくて体がものすごく熱いんだよね。ようやく気付く。体温調整がうまく行えないため術後より電気毛布が掛けられいるのだがそろそろ用済みの様子。で、看護師さんが電気毛布をよく見てみると温度設定が「ダニ駆除」になっていた様子。笑いごっちゃねーんだよ、とにかく暑いんだよ。どうも電気毛布のせいだけでなく熱が本当に40度いってしまってた様子。術後にはよくあることと言うことで看護師さん、冷静に氷枕三つ持ってきて体を冷やしてもらう。大分楽になる。とりあえずこれで死んだらダニになってしまうと思ったのでとにかく必死に痰を排出する。体の感覚が麻痺しているんだかもしくは看護師さんが気利かせて適当に痛み止めを注入しているのかどうかよくわからないが、手術当日はあまり痛みを感じない。ので熱が落ち着くと割合よく眠れたような気がする。