手術記のようなモノ その1

 まず、手術着というのが大変間抜け。一見、膝まであるワンピース。当然刃物を直で入れるため手術着の下は素肌。パンツのみは手術室まで履いていくことを許される。背中は上から下まで割れていて、2カ所ほどついている紐を結んで固定。ただし背中はほぼ丸見え。当然男女関係なく。首を出す部分は少し大きめに作られているので肩も大分露出してしまい、筆者のように痩せ形の体系となれば肩部分がずり落ちて肩が露わになるので、気にする人は気にすると思うのだが、当方全く気にぜず、というかあまり余裕なく、待ってる間は片肌脱いだ半端なオカマのような格好で待機していた。手術室までは歩いて移動。別に重病人というわけではないので。ただし、そのままの格好で病院内ウロウロするのは処刑前に市中引き回される柿色の小袖を着せられた石田三成とあんまり変わらないので、真っ赤の地に、舞妓さんの刺繍が入ったスカジャンを羽織って手術室へ向かうが、今思えば石田三成よりヒドイような気がしないでもないが。移動中何度も逃げようかと思ったが、この格好では逃げても無駄だと理解、おとなしく看護師さんに付いていく。
 手術室。手術室前まで付き添ってくれた家族とは当然別れて、ここからは基本的に私とスタッフのみ。当然不安はいや増す。バタバタと忙しそうにいろんな人が担当の看護師が挨拶がてら本人確認。スカジャンを誉めてくれる。たぶん術前リラックスできるように気を気を遣ったのだろう。続けて畳表の雪駄を誉められる。もうええっちゅうねん。
 で、ベットが置いてある、実際に切る部屋。ベットが高い。術前だから全てのライトが点いてるわけではないのだが、なんだかそこだけやたら明るいような錯覚を感じる。ベット上まで階段で登る。やはり高い。ベットに横たわると麻酔科医師が登場、本人確認の後麻酔の準備が始まる。初めは硬膜外麻酔から。横向きになって背骨に沿って針を刺し注入の準備。その後仰向けに戻るとやたら近くに迫る天井・ライト、「全身麻酔の準備をしますので・・・」そんなようなことを言ったような言わないような、透明の、チューブの付いたマスクが顔に近づいてくる、この瞬間「やめろ、ショッカー!」という単語が思い浮かぶヤツは何人くらいいるのかな、とか思ってると・・・。

 「潰瘍性大腸炎」→「大腸全摘出・Jパウチ造成」術のはじまりはじまり〜