QUEEN『THE ROYAL COUNTDOWN』

 聞いたこともないタイトルのCDをレコード屋で見つけて、PCで聴く。呼んでもいないのにメディアプレーヤーが起動して勝手に世界のどっかと繋がる。そのCDが、メディアプレーヤーでさえも情報を見つけてくることのできないシロモノであることが判ったとき、これぞまさしく未だにCDで音楽を聴くことの至福の冥利に尽きるというもの。ただし、「メディアプレーヤーを出し抜いた、やはり中古レコード屋は偉大だ」と「勝ち」に取るか、「そんなモンに値段を付けて店頭に並べて、それを買わされた」ことを「負け」と取るか、なかなか評価の難しいところである。ちなみにこのCDはデータあり。メディアプレーヤーの勝ち。
 表題のCD、「プライベート版」とのこと。「プライベート版」の意味はよくわからないが、意味が変わらないのならブート版とした方が私は好き。海賊だろうがブートだろうがプライベートだろうがだろうが手作りだろうが大好きなアーティストの貴重な音源を聴くことのできることは大変うれしい。
 内容。1974年4月21日、ロンドンでのライブを録音したものらしいのだが、確か翌75年発表のはずの『ボヘミアン・ラプソディ』が収録されているのがよくわからない。単にクレジットされた年月日がいい加減なのか。ただ、『オペラ座の夜』収録の曲は『ボヘミアン〜』のみで後は『クイーン』『クイーン?』『シアー・ハート・アタック』収録の曲で構成されているのでなんか、『オペラ座』以前のありがちなライブ構成の中に唐突に『オペラ座』が紛れ込んでるような感じ。最も、他の『オペラ座』収録の曲がカットされてる可能性もあるので何とも言えないが、よくわかないところが胡散臭く、オフィシャル版にない楽しみでなかなか良い。
 肝心の演奏。まあ、この時期のクイーンのライブ演奏が聴けるというだけで価値はあると思う。最も私が無知なだけかもしれないが。なんかちゃんと編集しているのか、演奏がきれいに拾えているのでライブで常に気になるフレディの声の具合等よくわかる。オープニングは『ナウ・アイム・ヒア』で始まるのだが、これがまたスタジオ版かと見紛う程に素晴らしい声の出だし。ただこのようなオープニングを聴かされると純粋に観賞する以前にすごく気になる「フレディ、どこまでがんばれる?」ということ。続く『オウガ・バトル』『ボヘミアン・ラプソディ(の前半部分)』まで声は持続。で、ここでお約束『メドレー』に。ああやっぱり、ここまで、と思いきやフレディ意外と頑張る。最初の同様の声を最後まで持続するのはさすがに難しかったが、中盤まではなかなか、終盤もまあまあ。最後まで安心して聴けることを確認、2回目以降は純粋に、初期のライブならではの珍しい歌の数々を堪能。やっぱクイーンは良い。もし私が明るく健全で純粋な魂のみを持つ人間だったのなら、クイーンだけ聴いてれば人生ずっと満足できるんだろうな。
 ところで・・・このCDのジャケット、なんじゃこりゃ。