廃線探索・・・飯田線平岡〜鶯巣間旧線その3(鶯巣駅〜北沢橋梁〜桃難沢橋梁)

その2→http://d.hatena.ne.jp/sans-tetes/20091205#p1
 
 精進隧道と精進沢橋梁の間には保線用のモノか、築堤下に下りる階段が設けられており密かにそこを下り再び国道418号線に立つ。

 この場所は精進の滝の入り口で同時に天龍村地域の農産物買い取り所になっており、時期柄この頃はゆずの買い取りを大々的に行っている模様。先程橋下で話していたのはそんなゆず農家の人たちだったらしい。この場所を通り過ぎる間に幾つかゆずを満載した軽トラがこの場に到着していました。

 今度は橋下から精進の滝方向。

 こちらは滝壺からの眺め。不許可侵入をする必要なく、廃線跡を眺めるにはここらが一番の場所です。

 下から見ても、未だ足場の頑丈さは見て取れます。

 この先廃線跡は不動隧道に入ってしまい見えなくなりますので、こちらは廃線に沿っている国道418号線を歩きながら遠目に眺める事にします。

 不動隧道を抜け、周囲が防備林で覆われていた辺り。道路から段々と高所になっていっているようですね。

 藤沢橋梁。木々に覆われていて見つけづらい。

 音無沢橋梁。渡るのを断念した橋です。もう本当エライ高さです。

 無理矢理渡って落下したら本当にエライこっちゃになるとこでした。

 ちなみにここらの道路も木々に覆われて下を流れる天竜川もしばらく見えなかったのですが、ここに来て久しぶりにお目見え。まだ大分下にあることに少々驚きです。

 再び現れた廃線跡の橋。恐らく「桃難沢橋梁」。まだ未踏の橋ですが相変わらずエライ高さにあることは変わりません。渡れる橋なのかどうかここからは判然としません。ここでわかるのは「絶対に落下できない」事だけです。

 更に進む。すると国道より山側に向かう道の途中に橋と橋脚。平岡〜鶯巣間で一番立派な橋は鶯巣駅を出てすぐの「北沢橋梁」のはず。と言うことはもうすぐ鶯巣の駅と言うことになるわけであるが、ここまで来ると現行線が見えてなければオカシイと少し距離感が無くなり戸惑う。

 と思ったらありました、しっかりと。一安心。

 新旧両橋。右側が旧北沢橋梁で左側が現行北沢橋梁。
 
 新旧の差は手入れの如何や付属の設備等で一目瞭然ですね。

 にしても旧線の立派な橋脚だけは今でも遜色なし。

 国道はここからすぐに鶯巣の集落に突入。とりあえず鶯巣の駅を目指します。

 廃線探索と全く関係ありませんが、民家の軒先に一つだけ残されていたあの柿の実、やはり何か思うところあったのでしょうか、アレがアレした挙げ句空を飛んでいるように見えます。

 鶯巣駅の姿は割合早くに見えるのですが、行ったり来たりの道で斜面を登るのでなかなか行き着くことが出来ません。背を向けた駅標識の右側の人影は、ホームの情報にある茶畑に立つ案山子です。ここらの害獣はお茶を好むグルメのようです。

 ようやく着きました「鶯巣駅」。ただまだちょっとやることがあるので一時この場を離れて

 そのまま平岡方面へ、線路脇を抜けて向かいます。

 現行線が北沢橋梁に差し掛かる直前、左側の草むらの先から旧線北沢橋梁が登場、先程下から眺めたように現旧仲良く並ぶ。現行線は右のトンネルに入った後平岡駅の手前になるまで地上には出てきません。

 橋から見た下の国道、および天竜川。相変わらず結構な高さですが幸いにしてこの橋にはまだしっかりとした足場が残っています。眺めはヨイ。

 眺めがヨイのは良いのですが、下の国道からだけでなくお隣の現飯田線からの眺めも最高、と言うか丸見え。一応無許可で侵入しているため、隣を通る飯田線の電車の運転手や車掌からは容易に気付かれてしまうので、場合によっては後々面倒なことになる可能性も。その意味でそのうち電車が来るんじゃないかとすごく落ち着かず、今探訪中一番心臓に悪かった。

 その眺めのヨイ橋上、何故か点々と狸の溜めグソが落ちていた。湧いたウジがそのまま死んでしまっているのでそんなに最近のモノではないと思うが、何故タヌキがこんな周囲開けた場所をクソ場にしていたのか、粗相を人に見られるのが好きな変態だったとしか理由が思い浮かばない。今頃は一体何をしているのだろう?

 向こう側の現行線が橋梁が終わるとすぐに山の中に消えていくようにこちらの旧線も見ての通り山の中に消えていきます。

 路盤には線路が残りますが

 一帯は完全に雑木林になりかかっています。

 鬱蒼とした中に静かに横たえる線路の異物感。

 滅法に生えた木々が路盤を真っ直ぐ進ませてはくれず、短い距離を蛇行した後ようやく次の「桃難沢橋梁」が見えてきましたが

 なんとこの橋の通路まで隙間が空いている。

 橋板まで、ジャンプすれば届かない距離でもなく、隣の柵や枕木を伝ってという手段を取れないでもなかったのですが、重い荷物持ったまま間を遮る枝葉の対処が出来づらかったのと、見ての通りの前日雨後の枕木と柵、何より先程コケたことで結構弱気になっていたので、結局これ以上進入することは断念。この橋の先にもう一つ「焼山隧道」があるはずなので、一カ所のポイントだけ行きそびれることに。悔しい。

 まあ無理してあんな風に言われたくないし

 鶯巣駅に戻るとあんな表示があったことに気付く。そうか、やっぱり危険なんだ。けど鶯巣駅改札口ねぇから全く説得力ねぇよ。

 とりあえずは無事帰れて良かった。後は電車を待って次の目的地へ向かうだけです(『[出来事]降りるとすぐに天竜川だった・・・飯田線田本駅』 へ続く)

 これは後日通り過ぎた時に車窓から撮った旧北沢橋梁。お隣に謎の鉄橋があることに気付く御仁は数あると思われますがあの先にあんな景色が広がっているとは思うまい。などと一人ほくそ笑みながらこの場所を通り過ぎる。今はほぼ放置状態でもそのうち崩落が進んで危険箇所が出てくればもっと厳重に立ち入りが出来なくなるんだろうと、そう思えばすごく得した気分で更にほくそ笑んで延々と車窓を眺めていましたとさ。 了