留萌本線峠下駅

 今回旅行では二度目の駅寝。

一度目の駅寝*1が無残な失敗(?)に終わった関係から今回は万全を期し、昼間(夕方)下見の上で準備をしていきましたが、そこに乗客はおろか目の前を通る車さえなくコレは楽勝と思いそのまま石狩沼田駅まで足(タイヤ)を伸ばし更には駅前食堂のオヤジに騙されて危うく秩父別まで足(タイヤ)を伸ばしてしまうところでした。無難に選んだカレーライスが美味しかったのでもっと変わったもんでも頼めばよかったと後悔してます。まあカレーだからっつっちゃあカレーだからだけど。

 石狩沼田駅は嘗て札幌方面へ分岐があった駅に相応しく当時の面影を残す広い構内、そしてまさに「面影」としか言いようのない相当に周囲の寂れっぷりはもはや道内において「駅前」とは全く人を集めるためのツールとして機能していないのだなと改めて思い起こさせてくれます。駅舎内ベンチに佇む人々は列車を待っているのでなく列車に全く連動しない時間に到着したバスにその悉くが吸い込まれていったのがとても印象的です。どうにかならないモノか。

 いずれにせよ石狩沼田駅前、ほんのりと駅前機能残り所々終着駅機能残りと注意深く散策すればいろいろと面白い発見がありそうな場所でしたが日も暮れてきたことで今回は残念ながら*2これ以上の散策は諦めます。さようなら!

 その後石狩沼田と峠下との中間にある恵比島駅を訪ねたような気がしますがどういうワケか写真が全く残っておりません。そう言えば駅前少し歩いた山上に神社があったような気がして明日行ってみよう思ってたら雨が降っていたので素通りした記憶があります。いずれにせよ本駅舎よりセットのニセ駅舎の方がデカイ駅に明日があるかどうか少々怪しいところです*3、残念ながら!

 良い具合に日も暮れて人目憚る行動をし易い時刻になった頃ようやく今夜のヤサへ到着です。「北海道」の「人里離れた駅」と云いますとどうしてもクマやらキツネやら*4DQN等の獣害ですが幸いにして峠下駅、場合によっては秘境駅に分類されるイメージに反してその場所国道から離れた枝道(一応旧道)を5分も経たず進んだ先にあり、少なくとも人が怖いなんちゃって臆病のクマは来ない、エサなければキタキツネもたぶん大丈夫、残るはDQN位ですがこれは会話が通じない相手なので枕元に鉈でも置いて対応しておきましょう、と獣害の可能性の低い場所にあってその意味で駅寝するに敷居の低い駅、それが留萌本線峠下駅なのでした。

 もっとも、国道が近いからといって油断していると、その国道を通る車自体が少ないという事実に衝撃を受け眠ることが怖くなりますので一度ヤサを構えたらもう後は余計なことは考えず寝るだけにしましょう。時折聞こえていた車の音も絶えると外のどこかからサラサラと静かに川の流れる音も聞こえてきてやはりこの場所結構な山の中なのではないかと再確認。今回ワタクシ色々と不測の事態を防ぐための予防策としてバイクを駅舎前の道路から見え難い駅舎横昔貨物ホームとして使っていたと思しき場所に停めておきました。後で気付いたのですが道路からは見え難くても列車からは丸見えなので或いはわざわざもっと面倒臭い不測の事態を起こすべく画策をしたと責められても文句は言えないぞ、そんなことその時は考えもせずさっさと寝ることに。

 訪問したのに写真の残っていなかった恵比島駅でもそうだったのですが、ここら山の傍をかすめるが如く走る線形に付き駅舎という明かりがあろうモノなら容赦なくナゾの鱗翅類(なんか茶色い蛾)が飛び込んでくるため扉窓共に締め切っておくことは必須です。ご想像の通り夜なんかトンデモナイことになってます。

 光を頼りに中空を彷徨う鱗翅類だけでなく地面もなかなかに立派な峠下駅、寝床に定めたベンチ周辺の夥しいクモの巣は仕方がないとして朝起きてふと地面を見てみるとなんだか緑色の雨蛙がなんだか嬉しそうにぴょこぴょこ跳んでいたのには少し驚きました。外気を遮る分駅舎内の方が過ごしやすいからでしょうがどこから入ってきたのでしょうか? 駅寝中目の前をダンゴムシが這っていたり一晩中コウモリがわんわん飛び回っていたことはあってもカエルがぴょんぴょん跳び回る様に出会ったのは初めての経験です。いずれにしてもそのぴょんぴょん飛び跳ねる姿にこちらまで嬉しくなります。

 そう言えば昨夜とうとう駅舎内の電灯が消えることはありませんでした。場所柄防犯の役割を果たすためかそれともやはり場所柄節電するのを忘れてしまったのか、いずれにせよ一昼夜煌々と灯る明かりに吸い寄せられた鱗翅類の御一行で峠下駅駅舎はエライことになってます。鱗翅類が苦手な人はココで絶対に駅寝をしてはいけません。

 先程まで跳ね回っていたカエルさんはいつの間にやら何処へやら、地面に目を凝らすとコンクリの冷たそうな湿気を帯びて確かにこの地面ならカエルさんも嬉しいでしょう。当然のコトですがカエルさんが嬉しい場所だからと云って決して人間様が嬉しい場所とは限らないワケで、けど峠駅駅は一部の人間にとってはとても居心地のよい場所でありますがそろそろ初電まで1時間切ったコトですしいい加減寝袋から這い出てクソでもしましょう。ココで初めて明かしますが峠下駅、トイレあり、当然汲み取り。もしかしてカエルさんはココからやってきたのかも知れない・・・。

 朝の峠下駅前広場、天気は全く冴えませんが山際らしくいつまでも靄が漂い雰囲気は言い分なナシ、乗客の現れる雰囲気ナシ。

 峠下駅駅舎。何が素敵かって有人時代のまま残っているローカル駅舎ほど素晴らしいモノはない。 

 ホームも客車時代を彷彿とさせる低床。

 行き違い可能。間違っても「峠下駅のクセに」とは言えない。

 駅舎とホーム。ってかバイク丸見え!写真で初めて気付く。

 駅名表示には東幌糠駅の痕跡が残っています*5

 国鉄の駅舎にJRのロゴの本来は歪、しかし北海道ならソレもアリかと、と云うか許されるかも、と云うより許して下さい、その代わり駅舎はそのまま残して下さい。

 そして発見、国鉄の痕跡、とてもぞんざい

 しかし、上りホームの凄まじい荒っぷり。あの藪の後ろからクマが出てきてもおかしくない、可笑しくない・・・悲しい

 駅寝するしないに限らず一番列車より遙か前に一人朝靄たなびく駅全景を眺めるコトは至福のひととき。けど、まあ、なんのかんの言っても駅寝はあまり薦められた行為でありませんので朝の気分を得るコトその他行動控え目に

 と、その直後、列車進入を知らせる放送と共に現れるや一目で当駅に全く停まる気ナイであろう感剥き出しの普通列車優等列車の存在しない路線で明らかに停まる気のない列車の存在はひどく物騒。多分増毛もしくは留萌発に充てる回送列車と思われる2両編成。気動車は重い*6

 無事朝一番の通過列車を見たことで、名実共に初電の影を感じたところで近隣住民に甚だ迷惑な駅寝行を終わりにしようと思います。近隣住民いねぇけど。本日予定はこれから列車に乗って増毛まで。

 もちろんバイクはホームに置きっぱなしで

 荷物も駅舎置きっぱなし。どうせ誰も来ないだろうとタカをくくってたら本当に誰も来ませんでした峠下駅、留萌方面増毛行きはきちんと駅に停車してくれたので私も何食わぬ顔をして乗り込むとしましょう。では!

*1:http://d.hatena.ne.jp/sans-tetes/20111110

*2:北海道にでも住まない限りもう来る機会はないでしょう、残念ながら

*3:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%81%B5%E6%AF%94%E5%B3%B6%E9%A7%85

*4:エキノコックスを媒介して人を凌遅死に至らしめるキタキツネはどう贔屓目に見ても立派な猛獣です

*5:つぎはぎとも云う

*6:想像