那珂湊駅前で

 駅ねこに会えればと思ったのに駅ねこの姿はなく聞けば普段散歩に出かけていてメシ時にならないと帰ってこないとのこと「そこはネコですから」

 仕方がないので那珂湊から川渡って直ぐそこの最近何かと話題な大洗まで歩いて行ってみようと中々奇抜に魔術チックな形と模様を持つお稲荷様の脇を抜けて駅前表通りの抜け道になつているそれなりに車の往来多い通りを歩いて依ると或お店の

 正しくはむかし何かのお店、いまよくわからないけどお店ではない、けど人は住んでる建物の外、往来面しているところといuか全く持っての往来を

 茶色い鶏がウロウロしている

 その脇を軽トラが次から次へびゅんびゅん通り抜けて往く

 これは余りだろうと全く赤の他人の地元民でさえないもののほんの少うしの親切心から表のガラス戸を開けて中でおしゃべりに興じてゐる老婆に注進するも、あのチャボはいつも通りでそのままでよいと

 ははぁ、そうですかと腑に落ちずに往来に戻ると家の土間の方からするりとねこも現れる。往来でねことにわとりを放し飼いにしているらしい。そういえばここに来る途中庭にいぬとニワトリを一緒に飼っているお宅が何軒か有ったしここらではそういうものなのかと何か喉まで出かかってるものを飲み込んで那珂湊を後にする。

 大洗は本当に直ぐ目の前で、北往きで何かと縁はありながらつい見そびれて仕舞うの街並み、なるほど不思議な活気が好ましい。今度はもう少しゆっくり見ようとふと港の方を眺めると馴染みの北往き船の姿。危ないことにいまから走れば乗船に間に合ってしまうと

 気がついたらきちんとやたら接続の悪い鹿島神宮駅の空調もない待合で寒さに震えていたので幸いにして身一つで北へ往ってしまう衝動を抑えるほどの分別はまだあるのだなとしなくても良い安堵に胸をなで下ろしていたのです。