植木等さん亡くなったんだー

音楽、今でこそ洋楽ばっか聴いているスカしたやな奴ではあるが、一番始めに聴き始めた音楽って邦楽なんですよ。中学生位でしょうか。『ハナ肇とクレージーキャッツ』。当時、音楽等聴く習慣のなかった私は、当然自分用の録音再生機など持っているはずはなく、今にある家族兼用のコンポを使って主にラジオ等いろいろ聴いておりました。ちなみに録音されたモノでそれまでよく聴いていたのはずばり『落語』。これに『クレージーキャッツ』が加わったのですから当然いやがられました。当時はカセットテープでしたね、録音再生の媒体というのは。まあ、今考えると、風通しの良い道路に面した居間でそんなもん聴いていたのですから当然ですわな。
他の歌知らないんですから仕方ないつっちゃ仕方ないんですが、カラオケでもこんなん歌えばそりゃしらけますわな。今でも選曲でしらけさす傾向は変わらんのですが、まあ、今は周囲の反応に困った、あるいは状況が理解できずきょとんとした様子がおもしろくもあるわけですが。ほんといやな奴・・・。まあ音楽的に言えば原点にあるわけですわ、植木さん属する『クレージーキャッツ』は。
映画も遡って観ました。初期の方はだいたい観たような。まあ、回を重ねて、金はかかってくるんだけど内容的につまんなくなるお約束はご愛敬ということで。映画もそうなんですが、その当時だから許される内容なんですよね。いわゆる「昭和の〜」「高度経済成長期の〜」経済成長神話に基づいたお話なので、今観ると本当の意味でナンセンス。怒る人もいるかもしれない。当然、「昭和ノスタルジー」が大っ嫌いな私が今更観る理由はない。
植木さんはその後「正当派」の俳優になっていったので当然昔はこんな役やっていた、なんてことはあまり知らない人もでてくる訳なんですが、そうなっても私は一応ファンとして好きでしたよ。この人の昔のこと(ジャズシンガーとしての音楽活動も含めて)よく知ってればこそ、「無責任男」とのギャップ、裏返せばいわゆる「芸能人」としての底の深さは余人に代え難い魅力と写ってましたし。やはりそこが「昭和」の無責任男たる所以なんでしょう。公私ともにキャラクターとして認知されてる「平成」の無責任男の高田純次と比べると・・・。
またまた映画の話題になって恐縮なんですが、もし、『クレイジーキャッツ』としての初期の映画を観た後、真の意味で、更に「昭和」を体感したいのならば『会社物語』を観ればよい。主役は先に逝ってしまったハナ肇さんだが、最後のメンバー総出演の映画にして、一番好きな映画。『クレージーキャッツ』は観なくとも、「昭和」の「栄光」にかぶれちゃってる人は絶対観るべき傑作だと思う。よく知られている話ではあるが、左翼運動史の中で植木さんのお父さんの名前がでてくる。調べるとわかるのだがこの人も大変おもしろい生き方している。植木さん自身の著書も含めてもう一度調べてみることにしよう。
そして何よりも、植木さんとメンバーと昭和が一番輝いていた時代の歌を、久しぶりにもう一度聴いてみよう。なんだかんだ言っても植木さん、歌が物凄く上手。
心からご冥福をお祈りします。