平山夢明『ミサイルマン』

 あっはっはっは。「このミス〜」の肩書きにつられて『独白するユニバーサル横メルカトル』を買ってみたものの、いまいちの不全感と疑問を感じながら、それでも弛まない自らの探求心を信じて購入した本書・・・読後、唖然とする様・もしくは顔を顰める様を想像してください。もちろん誉めてるのですよ。
 収録された諸編、一部調和がとれていないのでは?と感じるものも含まれるが、全ては最後に用意された表題作『ミサイルマン』への助走と考えれば納得がいく。この短さでここまで平山先生の「味(甘い・辛い・しょっぱい・苦い等、とにかく多くの)」を凝縮させている『ミサイルマン(収録されている小説の方)』、出るのが遅すぎたと言っても過言でない、これはもう「平山先生の名作」。
 少し前の作品が多いからなのか、先生の得意とする表現が、ほとんどセーブされずに書き綴られ(一部「書き殴られ」)ている。それぞれの作品の中に、「この表現を使いたいためにこの作品を書いたのでは?」もしくは「内容と少し離れる気もするが、関係なく力入っているな」感じる部分が最低一ヶ所、見つけたとき、思わずニヤリとさせられるのか、それとも目を背けるほどの嫌悪感をかんじるのか。私的には、大変想像力豊かな両者とも先生の作品を読むに適していると思う。
 ただ一点、入院中の病室のベットの上に読みかけのまま放り投げておくのは考えた方が良いかも。一部、周囲のあなたを見る目に変化があるかも。