選挙、投票時思ったこと

 本日、地元議会選挙の投票日。税金も払ってることだし、ヒマでもあるし、2週連続の投票。首長が絶大な権力を持った地方行政、議会にそんなに期待するものなどないのだが、一度実家の母親がさる組合の不条理な壁に遮られた時、便宜を図ってもらった特定の議員がいると言うことで、義理を果たすことを依頼される。特に、応援する候補もいないことだし、まあ、構わないだろうということでその議員に一票を入れるつもりで投票所へ。
 ところで、投票所に置かれている「投票用紙を記入する時利用する敷居の付いた台」は何であんな安っぽいアルミで出来ているのか?その中途半端に輝く鈍い光沢は100円均一ショップで売られている行平鍋を連想する。アレで毎日煮炊きすると、融けだしたアルミニウムが食物と共に体内に進入し、将来確実にアルツハイマー病になること請け合いなあの鍋に。一応、科学的に殆ど根拠のない話なのであしからず。
 で、件の「投票用紙記入台」。三方アルミ製の壁で仕切られた台の底面も当然アルミ製。そこに投票用紙に記入するのに使うエンピツが置かれていて、書き易いよう、選挙管理委員会の気配りにより鋭く削られていることも多い。その研ぎ澄まされたエンピツでもって意中の候補の名前を記入するため投票用紙に文字を書き入れるわけだが、その時、あまりに研ぎ澄まされたエンピツの筆先は、勢い余って投票用紙の繊維を通じ、台となっているアルミニウムの表面の分子を引っ掻く。その時、恐らくは記憶のある音がごく控え目に、アルミの壁の中だけで響く。黒板を、伸びた爪でもって引っ掻くアレである。この音に対して殆どの人間が不快感を得る理由は、かつて我々の祖先が平原ではなく森に住んでいた頃、仲間が発する危険を知らせる鳴き声がまさしくこれであったことを、未だに遺伝子の奥底に刻み込んでいることの名残との説だそうだが、この場所で聞くことはまさしく青天の霹靂と言えようが、或いは自らの行いに危機があることの無意識の内の警告か?
 などと言うことを考えながら投票用紙に向かっている内に、書くべき候補者の名前を失念してしまった。思い入れがあるわけでないので、正面のアルミ壁に貼られた候補者一覧の名前を見てもさっぱり思い出せない。考えた所で仕方のないことであるし、三方を不快な壁に囲まれた状態で長時間思考しなければいけない程差し迫った状況にあるわけでもないので、ここは素直に白票を投じて投票を終える。
 ・・・まあ、どうせ公明党だし。