『ジェシー・ジェイムズの暗殺』

 内容は題名そのまんま。に見えて、重要なのは最後半の「一見おまけの話」に見えるがさてどうだろう。作品の中では、「その結果」を事件が起きる前にナレーションで明かしてしまうことで、その事件に至る当事者達の心理を際だたせていた。無法者らしいむちゃくちゃな理屈を振り回して恫喝したり人撃ち殺したり殴ったりしてるブラッド・ピットが良い。最後に死体になってるとこもすごく良い。
 実際のこの事件が、どのような背景で起きたのかよく分からないのであんまり詳しくは触れることが出来ないのですが、殺した方(ボブ・フォード)が幼い頃から「英雄視」していた男(ジェシー・ジェイムズ)が会ってみると実際は「頭のイカレた身勝手な人殺し」だったことに気付いた事で、両者に生じた心理的な乖離、それがやがて「どちらかが消えなければいけない」的な雰囲気にまで陥った挙げ句、弱い方が弱いが故に強い方を殺した、みたいな描かれ方。それだけに映画の最後半、「後日譚」によって描かれた「弱い方」の末路が際立って、なんだかこの作品で本当に強調したいのは後日譚の方、なのかなってのが感じられる。凡人に用意された運命はこんなモン。けど、ただの強盗殺人犯を何だよくわからず英雄視して喝采してるあんたらも、どっちかで言えばこっち側なんですからね。もう一つ、こんな悪人こんな死に方して当然なんですからね。
 ・・・ついでに。19世紀と現在のアメリカの治安の程度がほとんど変わらないってのは、最早驚く程のネタでないってどうなんでしょ。