映画

『ザ・コーヴ』

「無知」に向かって発せられてる映画なのだと思う*1。もちろんその「無知」には私自身も含む。 映画の内容は各種メディアより漏れ出でてくる前評判通り、和歌山県太地町で行われているクジラ漁、その中でも特に小型のクジラ類であるイルカを大量に湾内に追い込ん…

渡辺文樹監督作品『政治と暴力』 (第1部『三島由紀夫』第2部『赤報隊』)

何もここで改めて書く必要などないと思うのだが、一応「模範的な」渡辺文樹映画の鑑賞の流れはこうだろう、恐らく。 1 街中で偶然「渡辺文樹監督映画」のポスターを見かける 2 そのポスターのデザインの奇抜さ、文言の過激さ、それに何よりも映画タイトルの過…

『Dr.パルナサスの鏡』

博士の鏡に飛び込んだヒース・レジャーが他の役者と入れ替わること(そしてそれによってヒース・レジャーとその代替が必要以上にクローズアップされてしまう詐欺のような構図が)の違和感が、前作『ローズ・イン・タイドランド』では完全に想像上の(或いは麻薬…

『メーヌ・オセアン』

直前に見た『オルエットの方に』の女の子達に感化されたか、鑑賞中ほとんど笑ってた。当方不細工な中年男子だけど。特集でかけられた作品でお約束となった「誰か置いてきぼり」の罰(?)は今作の車掌さんがぶっちぎりでひでぇ。中盤、島の公民館(?)でパズルの1…

『マイマイ新子と千年の魔法』

こう、子供のすぐ近くに気付かないで広がってる世界・・・農村と都市(社宅)の持つ生産・消費の対比であり1000年前の貴族と庶民の世界であり大人の男女の世界であり、たまたま「対」の関係が目立っちゃったけどそれを気付かずにいることで幸せかそうでない…

『浮草日記』

花沢徳衛の「アカじゃねえのか?」のセリフが聞けてよかった。「お前だろ!」なんて誰もツッコまなかったけど(会場が会場だし)。あと津島恵子がなんかやたら可愛い。

『ツィゴイネルワイゼン 』

原田芳雄の脱ぎ捨てたトンビを影、幕のように落とされたトンビ、その向こうに現れた大楠道代の仕草が全てを表す。ゾッとするほど素晴らしかった。

『動くな!死ね!蘇れ!』

共産ロシア少女のパンチ力がパネェっす(喰らった方が何度も頭からひっくり返る)。

『黒蜥蜴(1968)』

美輪明宏と三島由紀夫、それぞれの役「緑川夫人」と「日本青年」へのノリノリ感はイヤでもスクリーンから見て取れるので、注目は中盤登場してすぐ退場した西村晃へ。敵と遭遇して格闘となるアクションシーンの冒頭、「パッ」と目の前のイスを横に蹴り退ける…

『赤目四十八滝心中未遂』

無言でホルモン串を作り続けるシーンが好きなんですよ。積み上がった串が人骨で出来た塔みたいで。内田裕也は素で怖いのが笑える。

『銀心中』

都内で理髪店を営む石川喜一(宇野重吉)・佐喜枝(乙羽信子)夫婦の元に喜一の甥の珠太郎(長門裕之)が郷里から上京、住み込みで働くようになる。時は敗戦色濃い太平洋戦争末期、やがて喜一は徴兵を受け戦地へ。後を任された珠太郎は佐喜枝と共に必死で店を守る…

『吸血鬼ゴケミドロ』

副機長として杉坂(吉田輝雄)が搭乗する飛行機に爆破予告がされた。機長の命令によって乗客の荷物を調べているとその中の一人、寺岡(高英男)が突然拳銃を取り出し客室乗務員の朝倉(佐藤友美)を人質に機を沖縄に向かわせようとする。混乱の中機は突如として現…

『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』

精神病院の一室で監禁される人見広介(吉田輝雄)はしばしばある幻に苛まれる。「荒波の叩きつける断崖」「その絶壁に立ち舞い踊る異形の男」・・・過去の記憶を失っている広介であるが、その幻によって広介は自分が狂人でないと確信していた。そんな広介を見透か…

『ブルー・ゴールド-狙われた水の真実』

「国際連合」と云う組織が一部の大国の利益のためだけの調整機関と云うコトは、青山の国連大学を訪れた事のある人なら誰でも知っている。所謂「中道」を称さない「右派」も「左派」も挙ってその辺を攻撃する「国連はもはや体を成していない」と。ちなみに私は国連大学…

『大人のオモチャ ダッチワイフ・レポート』

北極越冬隊に毎回参加する国立大学の大森教授(益富信孝)の主な仕事は隊員達の健康管理。そしてそれに関連するもう一つの任務とは長期間極限状態に置かれる隊員達の性処理を賄うダッチワイフ「BB(ベベ)」の製造管理を司ること、ただしこれは重要な国家機密に…

『黄線地帯』

東京のホテルの一室で殺し屋・衆木(天知茂)が殺したのは、依頼主の阿川(大友純)より「極悪非道の悪人」として教えられた男だった。依頼を果たし報酬を受け取るため向かった約束の場所に阿川の姿はなく、代わりに彼は警察に追われ騙された事を知る。依頼主の本…

『にあんちゃん』

戦争が終わり、国を挙げて復興が叫ばれる中、国内の炭坑から生み出される石炭は復興の礎としてもてはやされ、そこに従事する多くの労働者を生み出した。ところが景気の下支えをしていた朝鮮半島での戦争が終わり石炭需要の減退が始まると各地の炭坑は次々に…

『地獄』

かねてより付き合っていた恩師矢島教授(中村虎彦)の娘幸子(三ツ矢歌子)との結婚も決まり幸福の絶頂であった四郎(天知茂)ではあったが、いつも付きまとってきて、適切だが悪意のある助言をなにかとしてくる友人の田村(沼田曜一)を不気味に思っている。田村の…

『女ひとり大地を行く』

昭和初めに起こった未曾有の不景気と農村の凶作により農家として食えなくなった喜作(宇野重吉)は家族を養うため北海道の炭鉱に働きに出るが、途中悪質な仲買人に騙されタコ部屋労働に従事させられた上に坑内で起きたガス爆発に巻き込まれて消息がわからなく…

『四谷怪談 お岩の亡霊』

主君田沼意次の失脚によってお構いになった民谷伊右衛門(佐藤慶)は、仕官の口を求めて江戸で笠張り稼業で糊口をしのぐ。折しも子を出産したばかりの女房お岩(稲野和子)は肥立ちが悪く伏せがち。自身の腕と才覚とに絶対の自信を持つ伊右衛門はうだつの上がら…

『竜馬を斬った男』

会津藩士の家に生まれ、江戸の旗本の養子となった佐々木只三郎(萩原健一)は折しも風雲急を告げる京の情勢に対処すべく幕府が組織した見廻組の組頭に抜擢される。結婚したばかりの妻・八重(藤谷美和子)を江戸に残して単身京に上る。得意の剣技を武器に不逞浪…

『ギャング同盟』

嘗て戦後間もない闇市を我が物顔で暴れ回ったのも今は昔、刑期を終え出所した風間(内田良平)を待っていたのは仲間の内高本(佐藤慶)ただ一人。高本の口から語られるのは嘗ての仲間の零落振りと敵だった組織の隆盛振り。愕然たる事実に憤慨した風間は高本と共…

『帰って来たヨッパライ』

大学最後の思い出にと東京からはるばる福岡を訪れた大ノッポ(加藤和彦)・中ノッポ(北山修)・チビ(旗田宣彦)の3人、北崎の浜で海水浴に興じている内に砂浜に脱いでおいた中ノッポとチビの服が盗まれ、代わりに軍服らしき服と学生服らしき服が置かれていた。…

『日本の悪霊』

ある地方都市。そこを古くから根城にするヤクザと新興のヤクザとがその街シマを巡って争い、古くからのヤクザ、鬼頭組の組長(高橋辰夫)自らが相手方、天本組の黒幕とされていた地主を刺殺して刑務所へ、その組長が近く刑期を終えるという事で、勢いを盛り返…

『白日夢(1981)』

(注、以下表現が下品に付き注意) 昼下がり、ある歯科医の診察室で。治療のために麻酔を打たれた青年(勝然武美)と並んだ隣の席でドクトル(佐藤慶)は麻酔かけて意識の朦朧とする令嬢(愛染恭子)の和服を脱がせてその乳房に貪りつき・・・はあ? いきなりバラし…

『鬼婆』

京と吉野と、日本国に二人の天皇が立って争った南北朝時代。京の都近くに広がる広大な芒ヶ原と呼ばれる湿地帯に二人の女が住んでいた。戦によって田畑を荒らされ働き手の男を戦に奪われた男の母(乙羽信子)と男の嫁(吉村実子)は食べていくために芒ヶ原へ迷い…

『女医の愛欲日記』

有能な医者として、また大病院の経営者として「九州の女王」の異名を取る女医の美穂(白石奈緒美)は大学時代の恩師の教えを受けるため定期的に京都を訪れていた。そこではいつも同窓の川崎(菅貫太郎)と一緒に講義を受けるのだが、会う度に川崎は美穂を口説く…

『東京裁判』

初めてこの映画を観たのは確か中学の頃、テレビの深夜枠で。死刑にされたA級戦犯の名前が言えると格好良いと思っていた、死ぬほどイタかったあの頃です。肝心の極東軍事裁判のそのものの意義と、明らかに「勝者対敗者」の図式であるにも関わらずその場を舞…

『人間』

西伊豆、松崎町。盆の小遣い稼ぎにと海神丸の船長、亀五郎(殿山泰司)は甥の三吉(山本圭)と若い衆の八蔵(佐藤慶)、そして島へ小商いのため便乗した五郎助の女房(乙羽信子)を乗せて出港する。どんなに長くとも航海は二日で終わる、そのはずだった。 極限状態に…

『祇園の暗殺者』

頃は幕末の京都、安政の大獄で志士達を弾圧した井伊大老が暗殺された後。薩摩藩士出身の志戸原兼作(近衛十四郎)は夜な夜な勤王攘夷の浪士達を指揮し「奸賊斬り」と称して佐幕、開国派の人物を殺し回り、同じ薩摩の大久保一蔵(原田甲子郎)をして「素面で人が…