手塚治虫『ころすけの橋』

 童話風に・・・。
 カモシカさんは日本固有の生き物で世界的に見て非常に珍しい生き物なんだそうな。珍しいので国は保護の対象として特別天然記念物にしてあげたそうな。ところがそのカモシカさんたちは保護されているのを嵩に着てお百姓さんの大事な畑を荒らしまくったそうな。相手は記念物ということでお百姓さん達はカモシカさんの傍若無人振りを泣く泣く見ているだけなのですがさすがに余りに度が過ぎると特別許可が出て撃ち殺されても良いことになり復讐に燃えるお百姓さん達に片っ端から撃ち殺されて、これが定期的に繰り返されて適度に間引きになっていたそうな。つまりカモシカさんは害獣なんだな。
 その昔、日本国がお隣の大きな赤い国と国交正常化したとき、その国は友好の印にと「我が国に生息する珍しい生き物です」と熊のような形をした黒と白とのカラーリングでほぼ半数の親が子供をネグレクトしてたまに人も襲う不思議な生き物「パンダ」を日本国に贈ったそうな。そのパンダさんは都内の動物園にて忽ち子供達の人気者になったのだけど当のパンダさんは毎日のようにガラス越しに晒される好奇の目からのストレスから逃れるために檻から出てこなかったりおかしな挙動を取るようになったとさ。
 日本国は珍しいパンダさんのお礼に「これもやはり世界的に認められた珍しい動物です」とカモシカさんをその赤い大きな国に贈ったそうです。実はそれが害獣で定期的に射殺されてることは言わないで。大したタマですね。
 ところがやはり悪いことはできません。「しめしめ、害獣と引き替えにこんな珍しくて可愛い動物が手に入ったわい」とほくそ笑んでいたのもつかの間、実は「大きな赤い国」内でのパンダさんはとっくの昔に絶滅していて、「我が国の」として連れてこられたパンダさんはその「大きな赤い国」の軍隊が勝手に占領しているよそ様の土地から勝手に連れ出された可哀想なパンダさんだったのです。お互いニコニコしながら害獣と盗品を交換する様はタヌキ・キツネの化かし合いのようですね。「友好の証が盗品」とわかった後も、こちらも害獣を向こうに送りつけた弱みのある手前、そのことに文句を言う政治家は日本国で誰もいませんでしたとさ。
 その後両国の友好の印として送り込まれた動物たちがどうなったかはウィキペディアとかででも勝手に調べて下さい。
 これはあれですね、「動物を外交カードに使われるな」とか「ギョーザは食べ物だがパンダは食べられない」とかいう教訓ですね。おしまい。