『佐藤優・安田好弘が撃つ『国策捜査』の実態』於阿佐ヶ谷ロフトえー

 壇上に並んだ面々、半分が収監経験者。よってどう見ても胡散臭い。特に佐藤氏、安田氏について、彼らが関わった「事件」の背景について詳しく知っているわけでないので、彼らが再三述べる自己の弁護についての評価は私には出来ない。
 お話は、『国策捜査』が行われる背景、「国家の気に食わない奴らの口を塞ぐために司法権を道具としている」というお話を中心に、まあ要するに国家がクソだからもはや革命でもやらなきゃ変わらんぞ、と。真意はともかくとして、国家(官僚)がある個人に対し司法権を乱用する基準というのが「そいつが可愛いか可愛くないか」という単純明快にして野蛮、にもかかわらず実際に現行の政府のやり方に見事に合致している理屈に改めて震撼する。こんなお話なのでいつもの通り恐らく公安のお客様がいらっしゃる、と言うことで出演者気を遣う。なぜならロフトへの入場料も捜査費としては出ないので刑事さんの自腹で来ているとのこと。大変ですねぇ。ちなみに情報機関出身の佐藤氏のお薦めする「集団組んで本気で尾行している公安の効果的撒き方」は新幹線に乗ることだそうだ。連中やはり交通費が出ないので何人か改札で詰まって撒けるとのこと。本当に、いろんな意味でこの国終わってる事が感じられる心温まるエピソードです。そこまでして必死に捜査する彼らのモチベーションの源は「出世」のみ、とのこと。検事の「国策捜査」に積極的に関与する理由については自らの利権を保険とするためのモノであるとのこと。これってすごく怖いです。その他、捕まった時にためになる効果的な警察・検察・裁判への対応方法(嫌がらせ)を佐藤氏よりレクチャー。
 主催が『週間金曜日』という「リベラル」な雑誌でもあるし安田氏もいるので死刑制度についても多く話題が割かれる。いずれも現行の死刑制度については批判的なのだが、個々が挙げるその理由に「人権」という概念が第一でないことが面白い。
 思考停止した国民で溢れる国家が有するのは感情で運用される完璧な司法制度。さあこの国に住む我々、どうするどうする。