その七十 さいたま市大宮区上小町 『切敷稲荷神社』

sans-tetes2008-07-26

 県道春日部川越線、通称旧16号は県内屈指の混雑を誇る道路で、大宮区に入り、大栄橋に差しかかるあたりから国道17号バイパスまでは殊にひどい。その普段から混雑している通りが、急なカーブでもって避けるようにして登場する当社、嘗ての国道に道を曲げさせる程にしてはそんなに大きくない。
 何代か前の知事の揮毫による額がかけられた石鳥居、続くはお馴染み、お稲荷さんの赤鳥居、直ぐに赤い屋根の社に辿り着く。都会の社に珍しく、夜でも開け放しの社の中は、大変行き届いた手入れ様で、御神体に続く段々に、焼き物と石造りの眷属が我が物顔で占拠。手入れが行き届いているとお狐がすごく起源が良さそうに見えるから不思議。せっかくなので、先程買った菓子パンを。油で揚げているので似たようなものかと勝手に解釈、ただし売れ残り半額セールのお徳用。
 今や地名に稲荷の名残は無いモノの、近くのバス停に「稲荷前」「稲荷坂上」と社に因むものがあり、それなりの由緒と伝統が伝わるが、残念ながら御由緒に関する情報はなし。全然関係ないが、嘗ては西武大宮線が道路と並行して目の前を通っていたはず。何ら廃線の痕跡を残さないこの路線を毎日のように眺めていた社主とお狐を思い、ちょっと気が狂って神前の鏡を覗く「なんか映ってないか?」。映っているわけがあるはず無い。たぶん狐に笑われる。気が狂っていたので。
 小さい社でも、それなりに氏子当の手入れがしっかりしているところは、社内色々飾り立てられいることが多い。ただ大体が普段扉の閉められていることの多いので戸の隙間から辛うじて眺める事が出来るにすぎない。氏子だけの特権と言うことか。先程述べたようにこの社は思いっきり扉を開け放しにしてある。そのため、他では氏子だけの楽しみにとなっている社内の飾りを部外者も楽しむことが出来てなかなか新鮮。当社の場合、あまり飾りといえるものは無いのだが、代わりに奉納者の名の書かれた額や礼状、感謝状多く、中でも目を引くのは、氏子「松本氏」への感謝状。そう言えば通りを出ると「松本」の名を冠した商店が幾つか建つ。松本氏を褒め称えている。よほど社の保護に貢献している氏子さんらしい。この方のお陰で犯罪発生率県内屈指の大宮区においてこのように開け放しの霊験が拝める。私も感謝。これからもガンバレ、松本氏。