『悪魔が呼んでいる』

 ごく普通にOLとして暮らす江原ユリ(酒井和歌子)に不条理で不可解な出来事が次々と起こり、その原因は実は・・・というお話。
 ど貧乏で天涯孤独という設定にもかかわらず、世間ずれしていないお人形さんみたいな顔した酒井和歌子に次々とたたみかけるように起こる不幸な出来事、そのまるで顔に傷つかないように脇腹にガシガシ蹴りを入れるが如きの徹底振りが一番の見所ですね、やっぱ。「私か、私は片桐伯爵だ」・・・悪の黒幕役大滝秀治が若くて(でも見かけあんまり変わんね)、お約束の「冷静」「激高」の針の揺れ幅が年齢に比して凄まじくまるで躁鬱癲癇を同時に有する本物の精神病質者がいるかのような存在感にシビれてしまう。退場直前の大滝がショットガン持ったまま毒入り紅茶飲んで「ブホッ」ってシーンに我慢できなくなって爆笑。とどめが某お手伝い志乃役の北村谷栄。事件解決の鍵を握る重要人物と見せかけて実は別の黒幕で、登場シーンは少ないが実は一人で一番人を殺しているという見かけ通り年齢不詳の大活躍。最後の最後に「お金は私のものよ・・・お金は私のものよ・・・」とか素で気持ち悪い彼女の呟きにを耳にしながら、純真な酒井和歌子を見に来た観客は、かくして誰も信じられなくなるのでした。