その七十三 新宿区歌舞伎町二丁目 稲荷鬼王神社内『恵比寿神社』

sans-tetes2008-08-20

 歌舞伎町の外れに、結構大きな規模で鎮座するお社。
 私にとって新宿の神社はここか花園神社といったところで、昔からお世話になっております。といっても別に夜のお仕事の関係者というわけではない。「鬼王」の文字、名前の奇抜さは新宿区内でも抜きん出ていると思う。その名前に引かれてか、平日休日に限らず訪れる非常にバラエティーに富んだ参拝者の姿を眺めているのも面白い。ふつーのご近所さん、ふつーのサラリーマン、ふつーのお水、ふつーのホスト、ふつーの飲んだくれオヤジ、ふつーのホームレス・・・もしかして単なる土地柄なのかも知れない。
 写真を見ると「ちのわ」があるので参拝したのは6月のお話。「ちのわ」の周りをヒマそうな猫がうろうろ、時々参拝客に何かねだり上手くせしめたするめの足を千切ったりしている。同じく暇に任せて境内をウロウロする私にも何度かまとわりつくが、別の参拝客が鳥居を潜れば、より何かくれそうなそちらへ向かったり、社に戻って縁に寝転がったり。ただし、ネコは決して「ちのわ」を潜らない。
 境内に二カ所、新しいものだが「水琴窟」が備えられており、珍しい音色を楽しむ事が出来る。とはいっても、柄杓で水をかけ、地中に差した竹筒から直にその音を拾う、この形には少々興が冷める。都会の喧噪に居づらい侘び・寂びを慰留するに編み出した苦肉の策、置くことを考えた宮司さん、意匠を設えた庭師さんの想いは汲むものの、なかなか。
 いそいそと勤めに励む本社には千枚札の張りにくく、参道の左側で本社の代わりに一身に札を受ける恵比寿さんに私もお札を納めることに。武生いる。摂末社もよく手入れされて好ましい造り。再び近寄って来たネコが今度はおねだりするわけではなく足元で座り込む。私が離れても座り込んだまま。鬼と恵比寿とちのわとネコが愛おしくて非常に名残惜しい。