『ゾンビストリッパーズ』

 ジョージ・W・ブッシュが4期目の大統領就任が決まった近未来のアメリカでは、イラクに続きイランその他中東周辺諸国、更には北朝鮮からカナダ・アラスカに至るまで世界中で自身に逆らうあらゆる国に軍を派兵しているアメリカ軍では当然の如く深刻な兵力不足に。その問題を解決すべく開発されたのが「死人を再度兵士として活用できるようにゾンビ化する」細菌。増えすぎたゾンビのサンプルを処分するために派遣された兵士のうち一人が感染。自らの駆除を恐れて秘密の研究所を脱出、逃げ込んだ先は何故か秘密の違法ストリップ小屋で、ゾンビ化すると新鮮な肉体を求めずにはいられない性に逆らえず、小屋のトップダンサー(ジェナ・ジェイムソン)を襲って感染させる。ところがゾンビ化することによって「人間を越える身体能力」と「死を恐れないことでこれ以上ない生への衝動」を手に入れた彼女はそれまで以上に超クールなダンスを披露、その能力を手に入れようと他の踊り子達も自ら感染、ゾンビ化する中、彼女たちによるこの世のモノとも思えないダンスを披露する小屋は大盛況。ダンスの後、客を必ず舞台裏に引っ張り込んで喰らうことで日を追う毎にゾンビが増え続けているにもかかわらず強欲な小屋のオーナー(ロバート・イングランド)の悪巧みによって毎夜ゾンビに夜ストリップは続けられる。
 まあ、あらすじ書いたってしょーもないんだけど、その割には(だからこそ?)登場人物達から節目節目に発せられるセリフがかなりウィットに富んでいて、世相への皮肉が満載、冒頭に語られる時代背景もの設定も合わせてなにげに好き。タイトルの通り一番の見所はゾンビ化してもなお、「常にトップでありたい」「美しく・クールに踊りたい」との見事な性*1に忠実に繰り広げられるポールダンスでしょうか。ゾンビだけど。このポールダンス初め、本場のストリップショーが微妙なテクニック*2と共に日本にいながら拝めるのだから必見といえば必見。ゾンビだけど。なので、血の気の皮膚の上から浴びた渇いた返り血が、皮膚と一緒に剥がれかけててるダンサーが平気な人なら楽しい映画かも。

*1:本作ではゾンビになっても自我は保たれている

*2:日本で言う「花電車」でゾンビ化した踊り子同士がケンカする様は「アメリカでもあるのね。英語でなんて言うんだろう?」と感心すると共に大笑いした