『フー・キルド・ナンシー』

 初めにシアターN渋谷さんへ。音楽モノの上映にスプラッターモノの予告を入れるのはよしましょう。パンキッシュなにいさんねえさんがドン引きしてました。

 さて、「誰がナンシーを殺した?」のナンシーとは言わずとも知れたナンシー・スパイゲンのことで、主人公(?)にも関わらず作中で皆が口を揃えて評価するビッチ振りは今更ながら痛快なほどヒドイ。一方で彼女の「最愛」にして「永遠」のパートナーであるシド・ビシャスへの評価も大分過剰な気もしないでもない。ただ今『マイ・ウェイ』の動画から、そのなんだかわからない魅力=カリスマ性は確かに感じられる、これからどうなるかわからないぞ的なエンターティナーの卵がその無限の可能性を秘めたまま殆ど自殺同然にこの世をおさらばしてしてしまう、実にもったいない出来事の間接的な引き金となった本事件がどー言うモノだったのか知っておくのに損はない。何よりもここに登場するのは「シドの母親が彼へのお土産にキャンディーと注射針を持ってくる」のを実際に見た事ある人ばかりなのだから。
 
 さて、結論から言って、この映画ではナンシー・スパイゲン殺人の動機と真相、そして犯人と思われる人物をほぼ特定している。似顔絵まで描いている。ここまで解っているのは正直怖い。そして、更に前記のもったい感を助長してやまない。何より、最低限死なない程度にこのガキどもを管理しきれなかったマルコム・マクラーレンにぶっ殺したくなるほど腹が立つ。伝説なんかにならなくとも、その後一旦尾羽打ち枯らして頭がハゲて腹まで出たシドがどんなパフォーマーになっているかやっぱ見たいよね。それにしてもグレン・マトロックは良い人だ。

 最後にシアターN渋谷さんへ。初めにしっかりと「ドキュメンタリー」とわかるようにしましょう。パンキッシュなにいさんねえさんが居眠りしてました。