西原理恵子『この世でいちばん大事な「カネ」の話』

 家庭的にたぶん普通に恵まれていたであろう僕にとって、サイバラセンセの2番目のお父さんが、ギャンブルと心中して首くくったって話は物凄いインパクト。要は僕も経験し得ない貧乏の悲惨さに対する想像力というモノが非常に脳天気に欠落しているということを改めて知ってしまったということ。その意味でもっと自分が若いときに出て読んでいれば良かったと本気で思う。今まで読んだサイバラ作品と読み比べると、実は彼女のあの頃のあーゆう出来事がかなり危うい、アダルトチルドレンという負のレールの上を走り続けていたのだろということ、そして彼女が彼女自身の力で負の螺旋を断ち切った「かぞく」、今があることについてよく解ったりします。ちょっと精神保健を囓ってみると解るのですが、その連鎖を自分で断ち切るということ、それを自身で客観視することがどれだけ凄いことか。ついでに最後の章「そして鴨ちゃんのこと」に出てきているように同じように一人でアルコールの軛を断ち切った鴨ちゃんこと鴨志田穣氏がやり遂げたコトというのは同じ意味で物凄いコトなのです。
 そんなこんなな優しいサイバラな内容かと思えば途中、「家庭があるのになけなし(?)の一千万を為替相場で一瞬でイワした」エピソードなんかもちらっと出てきたりして「無頼派」の面目もよく保っていたりして、そんなんも含めてやっぱ学校でバカ教師にエエコトばっか教わってる時期にこんな本読んどいた方がどれだけタメになるかと、こんなコト言ってる私はやっぱり恵まれていたのでしょう。自分がそーだったのならせめて子供には子供の内にこの本を読ませてみよう。子供いないけど。
 うーん、置くとこないんでなるべく本は残したくないんだけど、これは残さねば、将来間違って子供でも出来た時のために。けど場所がないので、もし周りに子供が出来たらお祝いに強制的にこの本送るので、その内もし自分に子供が出来たら強制的に返してもらうのでその時はよろしく。