近況

出張帰りに立ち寄った食堂は満席だったので出口に一番近い席で相席を求められた。「失礼します」と言って座ったがはす向かいの先客は一瞥も返さず、食い入るようにスポーツ新聞を読んでいた。自分が座るとすぐにはす向かいの客の注文〜大盛りみそラーメンと大盛り冷や奴〜が到着したが、それでも彼はスポーツ新聞から目を離さず箸を取る。「三沢が死んだのに大盛りなんて食ってる場合か・・・」箸を進めながら時折聞こえる独り言。ああ確かにそうですね。この時ほど注文したカツカレーが早く来ないかと待ち望んだことはなかったかもしれない。この時ほどすぐ背中が出口であったということがありがたいと思ったことはないかもしれない。店内には松村邦洋のサインが掲げられていた。スポーツ中の心肺停止は同じでも随分と違う結果になってしまって気の毒だなぁ、と思い私も目の前でそーいうことが起こったときのためにAEDの使い方をしっかり頭に入れておこうと思った。