『プレス・カメラマン・ストーリー』於東京都写真美術館

 主催が朝日と侮るなかれ。今ほど動画資料の発達していない当時の報道写真。初めて紙面を飾った当時の、送り手のただ一つの思い、ギラギラするほど熱い「伝える!」という一文字の鬱陶しさを想像。対して、実際にその場でカメラを構えるカメラマンは結構自然体で肩肘張らずに撮っていたとしたらそのギャップが至極格好良いのになぁ、と思ったりする。
 で、この中で一番格好良いと思った写真→「軍服姿の升田幸三」。棋盤の前でもないんだよ? なのにこんなに格好い? 棋士ってこんなに格好良いモノなの? 普通にこんなに格好良いのだから、指してるところなど想像するだけで腰が抜けそう・・・。

 直接報道に関する、付された作品ばかりでなく、「報道」という舞台で磨かれてそこから独自の作家性を見出し誕生していく各作家の報道以外の作品も興味深い。不思議なことにと言うか当然と言うか、どんなにパーソナルな一コマを撮ったモノであってもその根底に必ず「伝える!」一言が潜んでいるように見えて。写真という特性上当然と言えば当然なのだけどね。紹介された写真家の内、早世した息子の晩年の様子を写した一連の作品には素直に涙が出たよ。