『アロイーズ展』於ワタリウム美術館

 気になったのは、彼女の描く煌びやかな衣装を纏う人物、その中で頻繁に登場する装飾品。胸とか腰とか、時々首の辺りに固まって描かれる黄色の円形(?←こんなヤツ)。普通に考えれば装飾用の金属製ボタンとか首飾りのメダルとか考えれば良いんだけどほぼ全ての○の中に数字。だいたいは「10」、時々「100」、貴重な「1000」。コイン? 値段? ナポレオンが「1000」なのはまあ納得。けどサロメは「10」? この違いは? 通貨単位は「スイスフラン」で良いの? 「円」にしたらみなやっすい! ウィンストン・チャーチル10円ざまぁ・・・(帯は1000円だけど)。

 僕は男なのでよく解らないけど、乙女が純粋に支配する世界というのはこーいう感じになると考えて良いのでしょうか? なんちゅうか、解りやすく例えると「乙女界曼陀羅」? いや、余計わかりまへん。

 何れにせよ、彼女の心と直結するクレヨンから生み出される赤の洪水に茫然自失。衣装はおろか、その相手の心を掴むまでどこまでも伸びてきそうな腕、時には背景全てに至るまで、まさに情熱! 溺れそうになったところで時々登場する、赤基調でない緑基調の絵が絶妙に清涼剤になってこれも凄く良い。人物と衣装、背景を彩る色に関わらず瞳に宿す色は全て青、ドローイングの狭間に張り付けられた広告から切り取られた人々にも全て青い瞳であることを強いる。その執拗さは彼女の悪意のない選民意識、彼女の許可なくそこにいることは許されず、一方でそこにいることの至福を表す青い瞳同士の交感に赤い唇の接触、この世界を支配するアロイーズならずともこれは楽しいよね。なんだかわからないなこれでは。とりあえず、まだ瞳同士で見つめ合うだけでキスに至らない男女の横で青い瞳をした黄色(金?)の鳥同士がキスしている絵には笑った。