日本の技術を誉めよう讃えよう賞賛しよう

 季節のせいなのか、後志の日本海に面した側、島牧村から積丹村までずっと海から吹きすさぶ風が強かった。特に積丹村・神威岬の風は別格だったと思うがここはもう30分も走れば神威岬に差し掛かろうという神恵内村の外れ、後志の町を結ぶ主要国道走る主要道路、「追分ソーランライン」「雷電国道」「セタカムイライン」等の別名を持つ国道229号線沿いの地点。この国道、既に海岸線沿いに全線が開通しているにも関わらず線形改良のための工事区間にあちこちで出会う。また、古いトンネル・覆道を廃止して新しいトンネル・覆道に切り替え古い部分は立入禁止といった区間も多い。松前から断続して続く雄大かつ奇妙な海岸線の景色も、積丹まで300キロ近くを走っていると些か食傷気味に。そんな中で時たま登場する工事現場という自然と相反するような光景は大変魅力的に映ってしまう。普段都市部で暮らしているととても感じられない感覚・・・でもないね、僕、どこでも結構工事現場は好きだよね。

 そんな数出会った道南の工事現場の中で僕が最も惹かれた工事現場がコレ。場所は先程述べたように神恵内村、泊村との境近く、辺り人家は見当たらない中、青い海を背景に随分と華奢に見える姿を曝して立つ橋の基盤、その姿は天秤のよう。あえてキザったらしく「天に去ったアストライアが再び帰ってくる日のために置いていった天秤」とでも呼ぼうか。

 現在道路は湾状の海岸線に沿ってぐるっと迂回、断崖同士を結ぶ橋は最低距離で済むような設計になっている。バイクで走る分にはこのカーブが凄く楽しいのだがこの道路の主要な利用者であるトラックとしてはそういうわけには行かないのだろう、よりよい線形を求めるべくカーブを減らしまっすぐな道路とするため湾の入り口をかける距離の長い橋を架けようというのが工事の目的でしょう。

 この道路の歴史上、たぶん付近の工事は最低でも三度。こちらはたぶん今は使われていない初代の道路のための橋。本当に橋部分は最低限の長さでといった感じ。それが僅か100年に満たない間に

 こんなんに進化。公共工事を基本とする土木屋への技術の偏向には色々意見もあるでしょうが、ここは素直に技術の進歩を賞賛してその結果得られる奇景を存分に楽しみましょう。

 一命「擬装中隠しきれないままのホワイトベースモビルスーツデッキ部分」見えない?

 奥で飛沫を上げる波、手前で千々に乱れるススキの穂でおわかりのようにここも始終物凄い風。こんな風の中ここまで進められる技術力はスゴイと思います。技術の優劣は一概には言えないと思いますが少なくともデカイ建物が建てられるかということだけが技術の優劣ではないような気がします。

 いやー、堪能したなぁ〜。このような風景が拝めるのも橋が完成するまでです。それまでは楽しめると思いますが冬の間も工事はやっているんでしょうか? 神恵内市街から来るとトンネルを抜けた途端この絶景が現れるので余所見に注意をです。