景色が良くてあんまり風が強すぎると死にたくなる積丹半島

 あまりに風が強かったので感情まで吹き飛ばされてしまったようでした。ですので写真を上げるのを中心に紹介しますね、まずは神威岬
 行かれた方はよくおわかりだと思いますが、この場所の風光明媚際に気が付かなければとても人か行くような場所ではないです。岬の伝説に源義経の名前が登場しますが、源義経が北海道に来たはずなど絶対ないと思っているので「カムイ」の名はアイヌの人たちの自然を畏怖する気持ちから語り継がれていたのでしょう。どーでも良いけど北海道に来たとされる義経、あちこちでアイヌの酋長の娘とデキてその挙げ句逃げて酋長の娘自殺するといったパターンが多く、本当に来ていたとすると随分と無節操なお話で、義経北海道まで何しに来たんでしょうか?

 岬へ向かう最短の道はあるモノの、あえて遠回りしていくことで自然の驚異を味わいたいと思います。別に最短距離の道を行く連中がウザかったわけではありません。何れにせよ海側には丘をこのような遊歩道を伝って登っていかなければいけません。周りは全部クマザサ、誤って転んで頭から突っ込んだら顔中傷だらけになること必死です。岬を抜ける風がその勢いのまま岬の裏まで抜けてきて生えている全てのクマザサを絶え間なく揺らします。

 今来た道を登り切って、その来た道を振り返ります。岬まで行かなくても結構な風景が望めます。風はますます強し。

 龍の背。結構な距離です。
  
 道のりは荒野に向かうようです。途中で現れる構造物は旧軍のレーダー塔跡。

 現在は女人禁制は解除されていますが、門は夜は閉じられます。
 
 門を出てすぐ。やっと、僅かに灯台が見えましたが、あまりに強い風の制で少し距離感が狂い気味に、「ああもうすぐ」と勝手に思った瞬間です。

 少し歩いて後ろを振り向くと積丹岬。解りにくいのですが真ん中の突き出た岩の隣辺りの窪みが「念仏トンネル」と言って嘗て常駐していた灯台守家族のために村人が掘り進めたトンネルの跡だとのことです。 

 南西側を望む。

 西日が段々と落ちていく。ヒシヒシと身に伝わりつつあった絶望感はここらでピークに達します。恐らくはあまりに雄大で圧倒的な自然の前に人間の、そして個人としての小ささを思い知らされたせいでしょう。ここからは柵を飛び越えたい衝動と戦いながらの行となります。

 道が曲がっているので死にたくなります。

 線形があまりに複雑怪奇なので死にたくなります。

 遊歩道が狭すぎるので死にたくなります。

 ススキがあまりに沢山ざわめくので死にたくなります。

 歩いてきた道があまりに遠くて帰るのがめんどくさくて死にたくなります。

 剥き出しの岩肌が砂漠のようで死にたくなります。

 海があまりに青いので死にたくなります。

 この期に及んでゆるキャラかと死にたくなります。

 以上「電信柱・郵便ポスト症候群」を何とかしのぎ、人工物の神威岬灯台に行き当たり、正直ほっとしたのを覚えてます。

 何の標識かは解りませんが、このように大自然の中に穿かれた人の痕跡、普段なら興ざめしそうな代物でありますが、この時ほどこれ以上現実感に引き戻してくれたモノはありませんでした。

 気を取り直して、岬最先端の「神威岩」。ああ、やっぱだめ・・・。

 そんなときは灯台灯台・・・少し落ち着く。

 先日訪問したせたな町の太田山神社(→http://d.hatena.ne.jp/sans-tetes/20090922#p1)が神との邂逅を目指すため人に苦行を課すべく険しい地を用意した感が強いのに、この岬におわす神の決して姿を現さず人を遠ざける風は何なんでしょう? 決して優しいわけではない神の二面性を図らずも感じつつ岬を後にしました。そーいえば今夜の宿がまだ決まっていないどーしよう。

 一応無事宿は見つかり、積丹半島積丹岬近くのその宿がなんか変だったので少し元気が出て、翌日は積丹岬を目指すことにしました。

 残念ながら積丹岬の先端まで到達する道は無く、岬の先がどうなっているのかはよく解りません。代わりに岬に一番近い観光客進入可能地の島武意海岸まで行ってみることにしました。

 入り口はやはり高所にあります。もはや驚きません。

 更に海岸の入り口はトンネルの先です。これには驚きました。

 トンネルを抜けるといきなりコレ。

 海岸までは降りることが出来るのですが、結構な坂を下りていくことになります。ちなみに本日この場所私が一番乗り。独り占めの至福です。

 浜。北海道の西側の積丹半島、まだ陽が届かない。たぶん普通はここでああよかったよかったと帰って行くんでしょうが、せっかく来たんだから行けるとこまで行ってみます。とりあえずあのとんがった岩が見える海岸の北側まで、以下その途中の写真。

 今度は南側。

 残年ながらこちら側からは積丹岬は見えませんでした。その代わりと言っては何ですが、ドラクエで進入不可能のフィールドの「岩山」はこういうところを言うのだと妙に納得してしまいました。
 それにしても人いない! と言うのは半分は本当で半分はウソ。いた人というのがどうも密猟者らしくちょっと差し支えありそうなので写真をあげるのは止めておきます。別に私が通りかかっても堂々と渚の岩をほじくり返していたので案外密漁の意識は希薄だったのかもしれませんね。浜辺には密漁直後すぐに焼いて食ったであろう焚き火の跡と夥しい数のアワビやウニやその他焦げた貝殻の残骸がの残されておりました。美味いんだろうね。人いないしね。

 それにしても海が青い。積丹町の観光ガイドに書いてあった海の色「シャコタンブルー」のネーミング、密かで鼻で笑ったことをここに懺悔。

 沖にタンカーが停泊。ここからなら簡単に海賊行為が出来そうだなぁと邪な考えが浮かんでいろんな事がぶち壊しになる前に浜を後にすることに。

 今度は一転山登り。浜から高台にある灯台まで登るヤツなんかいりゃあしねぇ。

 島武意海岸展望台。空も青いです。

 海も青いです。

 結構なところにありますねぇ。ここから先稜線に沿って更にハイキングコースが続くのですが、私はここまでにして戻ることにしました。その帰り道。

 神威岬が見える! しかも他の観光客誰も気付いてない! 心が狭いとか何言われても良い自分だけに訪れる至福の瞬間。

 すると積丹岬はアレかしら? 断定できませんが。人跡未踏(と言うわけではなく、通報覚悟で侵入は出来そうですが)のあこがれの地。
 
 同じ積丹半島でも随分と差がありますね。良いモン見せてもらった帰り道地元のおばあさんに話しかけられオロナミンCもらう。昨日まで死ぬ死ぬ言ってたのがバレタのかな? ありがとう、長生きしてや〜。