「石油がないならウランを燃やせばいいじゃない!」某フランス王妃のセリフを意識したら意味が全然違った泊原子力発電所プロパガンダ施設見学 その1

 和ちゃん「共くん共くん! これから泊村にある原発関連施設のレポートをするのにお隣共和町のキャラクターの私たちが最初に話すの?」
 共くん「和ちゃんそれはね、まず初めに訪れた北海道原子力環境センター(→http://www.pref.hokkaido.jp/soumu/sm-gensc/)が共和町にあるからだよ」
 和ちゃん「でもそれだったら初めっから環境センターのキャラクターのモニタくんかモモちゃんが登場して話せばいいのに、どうしてわざわざ私たちが登場しなければならなかったの」
 共くん「それはね、昨今のゆるキャラブームの影響でもはやキャラクターを持たない自治体はないと言ってよい御時世でにあって、キャラクターの親しみやすくする際安易に走りやすい『かわいらしさ』のベクトルとは一線を画するあまりにシュールな僕たちの姿を少しでも世間に知ってもらいたかったからだよ!」
 和ちゃん「そっか〜! 私たちってとてもシュールな姿なんだね! 共和町ではかかしがシンボルで何でもかんでもかかしが登場しているから気付かなかったよ!」

 共くん「そうだよ! もっと自慢しても良いんだよ! もっと言えばこの一連のセリフは決して誹謗中傷ではなくてむしろ最大限の賛辞だから勘違いしないでね! 更に言えば共くん和ちゃんのキャラの使用は共和町始めどこにも許可を取ってるわけではないからその筋の人がコレを見てその意味で差し支えがあれば削除するからいつでも言ってね!」
 和ちゃん「共くん共くん。セリフが役を離れちゃってるよ!」
 共くん「と言うワケでそろそろブログ主にマイクを返したいと思いま〜す。san-tetesさんどーぞー。」

 以前紹介した岩内町の宿(→http://d.hatena.ne.jp/sans-tetes/20090921#p1)を出ると生憎の雨模様。この日晴れていれば岩内町から対岸に見える泊村の北海道電力(株)泊原子力発電所(以下泊原発)の雄姿を拝んで旅に出たかったが叶わず。天気予報を信じて本日は屋根のあるハコモノ中心の観光を予定。そうなると比較的のんびりと出発することに。宿のご主人ご夫婦に見送られながら出発。一方ネコは一瞥たりとも送りゃしねぇ。

そのまま国道を北に向かいすぐに岩内市街。雨の止んでる間に岩内港から対岸の原発を撮影

 釣り船越しの原発の画、すぐに雨が降り出したためカメラしまう。ところで岩内町と言えばたら丸くんですが、さすがにゆるキャラ選手権を勝ち抜くだけあって町中たら丸多く、シャッター通りと化したメインストリートのどのシャッターにもたら丸だらけ、潮風が厳しい海辺の町のシャッターはおおく錆が浮かびそこでたら丸くんが踊っています。雨が降っていて写真が撮れなかったのが残念です。
 雨さえ降っていなければ岩内では結構長い時間を費やすことが出来そうだったのですが、仕方がないのでそこそこに先を急ぎます。まもなく印象的な看板が出迎えて共和町に進入、そのまま国道沿いを走るといかにも官物といった建物、そこを指し示す看板には「原子力環境センター」の文字と「広報展示室」の文字。雨も強くなってきたので屋根のある見学施設は大変ありがたく、遠慮なく見学させてもらい啓蒙してもらうことにしました。

 右からモニタ君にモモちゃん。建物に入るや否やいきなり話しかけてきます。話しかけてくるのには実は重大な理由があるのですがそれは最後お楽しみに取っておきましょう。ここから彼らにより多くのコトを学び正しい原子力の知識を得たいと思います。

 その前にこの施設の目的をはっきりさせておいた方が良いですね。すなわち「北海道電力株式会社泊発電所周辺の環境放射線の監視、環境試料中の放射能分析及び温排水影響調査の環境モニタリング、農業・水産の試験研究」だそうです。上の写真はその一環として近海で採れたアワビに含有される放射能を調べた結果です。
 アワビに限らず海・陸の区別無く近辺で採取された魚介類農作物、定点に置かれた機器より残留放射能の濃度を観測、不測の事態が起きていないかいつでも判る仕組みになっているのですね。ここでは見学者のためにボタン一つで各地、各産物の数値が調べられますが、とりあえず「人工核種」が認められるデータは検出されませんでした。一方当たり前なのですが、自然由来による放射性物質はどれも適当に検出。もちろん人体に影響は無いはずです。ただ、穿った眼で揚げ足取ろうとこーいうとこを訪問するバカなサヨクとかプロ市民とかは「やはり何らかの残留放射性物質を観測しました」とか捏造したり、或いは本気で報告して無知をさらけ出したりするんだろうな。ですから例えば、大臣になっても未だノー天気に反原発訴えてる福島瑞穂いつでも来い!
 
 ただし計測室には誰でもいません。自動化されているからだとは思いますが、「不安」とか書いておいた方が記事的には確かに面白いです。ゴメン。

 ここで一休み。近辺に生息するお魚を紹介します。コレも重要な役割です。何よりブサイクな魚を見ると大変心が和みます。ちなみに生きて動いてるホッケって初めて見ました。

 魚達の向こうではひっきりなしにスペースインベーダーでUFOを撃っているような音。音の正体はこのような「箱」を通してひっきりなしに流れる光。コレの正体は。
 
 「スパークチェンバー」と言うそうです。こーいうのの良し悪しを決めるのはやはり語感だと思います。当たり前ですが私がいる間「スパークチェンバー」の音が途切れることはありません。

 さていよいよこの施設の核心に迫ります。「来訪者がどの程度放射線に曝されているか」コレを知ることは大変重要な問題です。で、その結果と言えば。

 おもしろくねぇああ良かった。「あなた」が浴びた放射線量を調べるのは自己申告の質問制で調べるため結果の操作が容易に出来そうですが、目盛り上限の250シーベルトを振り切ったら何か警告のようなモノが出るのでしょうか? 残念ながら試していません。

 コレも重要。都道府県別の放射線量の一覧です。あなたのお住まいの地域はどうですか? 福井県若狭湾周辺府県の数値の高さとか岐阜県の高さが凄く気になりますね。

 コレも参考です。ここで気になるのは何故かブラジルが自然放射線とはいえ放射線量が高いというコトです。良くは解りませんが、地獄のように空気の悪い北京に続いて人体に悪そうな場所でオリンピックをやってどーするんでしょうね。

 コレは放射線の種類によって透過できる物質が違ってくるという性質を「紙」「アルミ」「コンクリート」「水」でもって比べてみるという装置です。「α」「β」「γ」「中性子」の各放射線はもちろんイメージですが、透過の対象となる各物質は実物。コレがスイッチ一つで下からせり上がったり引っ込んだりします。各放射線の性質の不思議さも感心させられますが、私的にはこの「せり上がる」装置が楽しくて用もないのに上げたり下げたりしていました。

 お次はお楽しみのクイズです。正解者には何も出ません。こーいうネーミングを見ると、せめてネーミングだけでも文系に任せられなかったのかと悔やまれてなりません。ちなみにクイズの結果は

 全問正解。モニタ君の後ろで一緒に飛んでるロボットらしきのが誰なのかは大いに気になるところです。他に

 某火の鳥に出てくる「ロビタ」のようなロボットにセーラー服着せて誰が喜ぶのと言うのでしょうか? とりあえずモニタ君、結構な衣装持ちのようです。
 このクイズがある一角は広報室の中でも中心を成す一角で、大きめのホールに壁際に先程のクイズのような画面を通して学べる展示が並び、そしてホールの中心に広くスペースをとる最大の展示、

 モニターやジオラマを通して施設の役割や環境について複合的に学べる仕組みになっています。写真の画面が出ているときにモニター前に複数設けられた3択スイッチ着きのテーブル席から好みの選択を多数決で選びます。科学と同時に民主主義を学ぶことが出来るという優れモノです。ただし、私がいる間は他に見物客はいなかったので、私のみの投票結果が反映される独壇場となるまるで田舎の選挙のような有様でした。ただし、誰も投票者がいない場合無効選挙となってどの講義も始まりませんので日本の選挙よりもこちらのシステムの方がずっと優れていると言えましょう。

 幾つか講義を受けた後、その裏にある「はかってみよう!放射能」に挑戦。かなり大がかりですが身の回りの持ち物がどの程度の放射能を持つのか大いに気になるところ、コレは試し甲斐のある企画ですが、

 唯一最大の欠点は計測に一律10分もの時間を費やすということ。その間例えば財布を入れたとしてそのまんまただ待ってなけらばならない。あまりに無為に費やす時間の長さにしびれを切らし途中で「やめる」のボタンを押すとモニタ君が「ええ〜!やめちゃうの〜?」と大声を上げる。うるせぇよ馬鹿たれ、こっちはそんなにヒマじゃねぇんだ。

 でもせっかくなので気を落ち着かせてもう一度挑戦。他に客はいないので計測の間他の展示を見ていればよいと他の展示に足を向けて、調べようと思った「げんしろう」。こっちのネーミングもいかにもなネーミングだが、こっちの方はなんとなくウけた。が肝心の「げんしろう」は調整中で調べることが出来なかった。げんしろ〜!

 そんなこんなで時間を潰して、先程の「はかってみよう!」の結果。何もないことに安心するより10分費やした結果が無為以外のナニモノでもなかったことに腹が立ちもう何品か追加。
 合計40分費やした結果は全て「検出されませんでした」。何度も言うが恐らく良し悪しで言うとこれ以上の良い結果はないモノと考えて良いのであろうが、わざわざ・・・ということを考えると釈然としない。

 そんな気持ちを施設入り口に設けられた「来館記念絵はがき自動作成機」に十分込めて作成。コレが欲しいという人がいれば送りますのでどうぞ遠慮なく。

 これで一通り見終わったわけですが、館内展示物にマジメにアクセスしてマジメに勉強すれば放射能放射線についての正しい知識をしっかりと得られると思う。ただし、設置母体が道という官物だけあって館内の案内・説明に関しては全くなく言うなれば不親切。ただ、館内の展示物を破壊にいたらない限りの好き勝手が出来るほっとかれ具合は私にとっては大変好ましく、このシステムはさすが官物と太鼓判を押したい。
 上の写真は館の入り口に貼られていたお絵かきコンクールの入賞作品。テーマがテーマだけにとてもシュールな作風に陥り易く原発の持つ漠然とした「危うさ」のイメージと相まって楽しい。
 
 館を出ると雨はすっかり止んでいる。これから出来れば原発を間近で見て雨の止んでる内に移動できるだけ移動しようか。そう思っていたのが実は泊原子力発電所関連施設、ここだけでは全然なかった。(つづく)