降りるとすぐに天竜川だった・・・飯田線田本駅


 カメラをデジタル一眼レフに替えてからあちこち行く度に持ち歩く荷物が随分と重くなりました。職場行っても海の方行っても山の中行っても住宅地行ってもカメラを持ち歩いているモノだから好むと好まざるとどこででも一目置かれます。唯一の欠点はなかなか写真の腕が上がらないこと。そんなこんなしているうちに遂にカメラ内にゴミが侵入して現在入院中です。今回はそんな入院前にちょっとでも腕が上がればと鍛えるべく秋と冬との境目に当たる中部日本のごく浅い山の中を訪れてみました。
 今回はバイクではなく全課程鉄道か歩行です。タクシーはもちろんバス、自転車も使わない覚悟を決めての旅程です。降り立った駅は飯田線田本駅

 「なんでわざわざ」とか「またか」とか「このオタクが」とか「自殺願望でもあるの?」とか言ったツッコミは一切受け付けませんので悪しからず。直前に乗り込んだ駅が何故鶯巣駅かもそのうち説明しますのでいちいち触れないで下さい。この日の目的は「田本駅を出て鉄道に依らず隣駅(温田)を経て田本駅まで戻ってくる」というモノです。

 まだ陽も高かったので、この崖っぷちのホームから列車が去っていくことにも、次の列車が2時間後という事実にも大して動揺はしませんでした。旅で一番頼りになるのはこういった自身であること、幾度か旅を重ねるうちに学ぶ一番の成果です。もちろんその自身に何ら裏付けがないことも多いのですが。

 もはや有名になりすぎた感のある本州が誇る秘境駅飯田線田本駅。ここでいちいち説明する必要はないかと思いますが、一応このように駅の上り下り両方、飯田豊橋両方面共に崖が遮りその土手っ腹に開けられたトンネルを線路は通ります。ホームの、飯田方面、ホームの先端少し豊橋依りに小さな待合いその先の先端、ホームが終わってすぐトンネル、ここからの出口はなく、駅から脱出するには一方(豊橋方面)しかありません。

 ちなみに駅の向こう側は、断崖と天竜川。植木に隔てられて見え難いですが。

 始めはこれが駅の脱出口かと思いましたが違うようで安心した、ただの営林用のハシゴだと思われます。ちなみに簡単に上れちゃったりしますが秘境駅を守るためにもマナーは守りましょう。

 本当の出口はコチラ。方向から言って「田本駅南口」と言ったところでしょうか。「雨上がり」「段差が急」「苔」「落ち葉」と油断できない要素は結構沢山です。

 トンネルの上からの駅全景。私の場合、駅から上がって来ての眺望ですが、山道を下って登ってやっとの思いできた利用客にとっては恐らく、このように突如として登場する人工構造物、まさに遭難を免れた安堵と日本の土木技術への畏怖を感じる場面となるほどそんなに山深くはないモノと思われますのでご安心を。

 この位置を背に向きを転じますと、分かれ道が生じます。写真ではちょっと判りにくいですが、大まかに一見すると左側のルートは結構な勾配を無理矢理登って行きそうな山登りコース、右側のルートは川沿いに向かっていくコース。目的地の違いがあるとは言え、どのコースが近道なのかはこの時点では全く見当も付きません。

 取り敢えず私が向かったのは右側のコース、そのまま川沿いを歩いていきます。すぐ右側は崖、更にその下川ということもありシャレでも足を踏み外せばちょっとした惨事になること請け合い、その為か所々このように滑落防止の柵が付いていてちょっとした登山道並の整備はされております。その整備の一環でしょうか? 写真で判るとおり現在工事中の看板、行く先の向こうからはひっきりなしに重機の音が響き渡り、音に関して言えば秘境駅の雰囲気とは隔たりがあります。

 工事現場。ここから先は川側の柵が途切れておりましたのでその工事なのでしょうか? 道幅狭い中ご苦労様です。地元土建屋にとって貴重なお仕事の場です。

 重機の通った跡。

 通る人がいないとはいえ*1ドリルほっぽってるのはマズイと思う。

 川と道の間は木々に覆われているため、水面は木々の間からちょっとだけしか見えません。ココでなくても言えることですが、木々の間に孟宗竹の浸食が激しいです。治山、営林の観点から見ると孟宗竹はまったくといって良いほど役に立ちません。むしろ害です。始めは一つ二つ植えて育てていたのでしょうが後継者・人手不足から人の手を放れるとトタンにこうなります。孟宗竹は地面に深く根を下ろさず表面近くにのみ広く浅く茎を伸ばして繁栄します。やがて山は孟宗竹に埋め尽くされ、埋め尽くされた山は全体を脆弱な地盤とし、その地盤は崩落の危機を常に抱えることになります。言うまでもありませんが孟宗竹は元々は大陸から持ち込んだモノです。すなわち外国人参政権法施行後の弊害を端的に表すのにこれ程適当な例えはないのです。民主党がやろうとすること、またはやっていることは売国奴のすることに他なりません。

 工事現場からしばらく歩くと吊り橋が見えてきます

 この吊り橋は天竜川本流を渡す物ではなくその支流を渡すモノで、橋からはこのように並行して流れる天竜川の様子が窺えます。

 橋を渡って更に少し、急な上り坂が現れ

 その先にもう一つ吊り橋。

 今度は本流を渡る橋で先程の橋より長大。川面から結構な高さにあることもここで判ります。ちなみにコチラは下流に向かって。

 上流側を見ると下方に橋台の跡。旧橋のモノでしょうか? 今さっき渡ってきた吊り橋はあの橋台の少し向こうにあるはずなのですが木々が生い茂っていて見えません。

 上方に僅かに飯田線の橋脚。豊橋方面から飯田線に乗ってきた場合、田本駅手前トンネルとトンネルの合間に一瞬だけ車窓から2つの吊り橋を眺めることが出来ます。ほんの一瞬ですが。

 橋の上からの眺めが良いので色々と眺めたり写真を撮っていたりしていると、さっきから遠くの方で響いていたはずの工事の重機の音が段々近づいていくるのに気付きます。そして気付いたときには橋の入り口に重機を押した土方さん登場。「ギュウイ〜ン・・・グガガガ・・・」とか音を鳴らしながらそのままゆっくいと吊り橋に侵入、途端に吊り橋激しく揺れる。別に大事無いのか吊り橋上の人の存在は無視です。

 あはは、揺れた揺れた、楽しい楽しい・・・別に吊り橋が波打ってひっくり返るほど揺れてるわけでないので構わないのだけど。吊り橋上の日本の細長い板はそういう用途だったんですね。そういえばここまでのルート、ちょっと無理すればオフロードバイクで行けそうな気がする。ウソです。本気でやろうとするバカは駅ホームからバイクごと川に落ちて死になさい。
 
 橋を渡ってコチラ対岸の道。対岸とは打って変わって簡易舗装の車進入可能な道幅。書きませんでしたが田本駅側の行政区分は泰阜村(読めねぇ)ですが川挟んでこちら側は阿南町のはず。つまり先程から来た道は泰阜村住民より阿南町住民の利用する率が高いわけで。「対岸の住民なんか知らねぇ」と言うワケであんな狭い山道だったのか、けど先程の工事の看板では事業主が泰阜村になっていたからそんなことはないのでしょう。けど業者が進入するのは阿南町から・・・。

 道幅広くてガードレールまであるとはいえ岩盤砕いてやっとこの道通した様子は良くうかがえます。すごいよな〜。

 もちろん道を踏み外せば川まで真っ逆さまであるということはコチラも変わりない。

 こちら側の道、道を覆っている木々で遮られていた視界はすぐに晴れ、ぽつりぽつりと人家、田畑も現れ川向こうの様子も望めるように。対岸から見てもなんだかすごい泰阜村側と違いこちら側は平地が多く、生活はしやすい様子。

 生活の友、信仰信仰偶像偶像・・・これを合図に急に結構な雨が降り出したので雨宿りすると。

 晴れ間に虹。お大師様ありがとうございました。

 川沿いの眺望も大分良くなったので、大体の位置と目標も何となく掴めてくる。取り敢えずあの橋(南宮橋)を渡って再び天竜川を越えれば再度飯田線沿線、温田駅に着き行程の半分。

 この先、道もちゃんと舗装されていて、いくつか人の住んでいる集落も通ってと順当、比較的平坦な道。変わったところ言えば

 まだ麻生さんがいたり。

 鳩までいた。

 農家の玄関先、道祖神と右側の童子様の石仏、幼子を祭ったモノだろうか、可愛い。

 南宮橋で、再び天竜川を渡る。空まだ青し。つまりこの時点での今後の見通し「余裕」。

 再び飯田線

 南宮橋を過ぎると川と飯田線に挟まれて緩やかな坂。温田駅前商店街は結構お店もあり、警察署もあり、となかなか貴重な繁盛振りですが。

 一歩足を踏み外すと危険です。

 広場が頑張っています。

 温田。泰阜村の観光地図がありますが、ここから村中心部まで行くのはかなりしんどいと思う。

 線路は紅葉の境。

 川挟んでほぼ向かい遙かに、先程休ませていただいた大師堂が見えました。

 その大師堂より少し視線を下げると、

 川岸が大規模に削られた跡が。今年の夏の大雨で嵩が増した川に削り取られていったそうです。こんな事は今まで無かったそうです。聞いてもいないのに通り掛かりのおばあちゃんが教えてくれました。

 どうでも良いけどこのパンダの「左右確認看板」は全国区のようでして長崎でも見ました。私、結構好きですねん。

 行って帰るだけでゲロ吐きそうなスナック・・・。

 予想はしていましたが、天竜川を横に見てここからはひたすら登りです。舗装はされているので死ぬほど危険なワケではありませんが、さっきの温田駅の時点で大分油断していたのが尾を引いて、ここからは大分余裕がなくなります。

 ですので気付いたらあんなんなりそうで、結構気は抜けません

 登り道の途中、渓谷を渡す橋(大沢橋)を渡り、ずっと下界にさっき渡った吊り橋が見えました。随分と高くまで・・・

 ちなみに下から見た図、本当に高い・・・

 まだ人家があることに脅威は感じませんが、ネコがいることにはちょっと脅威を感じます。ウロウロするには場所が限られてそうだし、何より寒そうだ。車でなくて徒歩で人が歩いてくる姿が珍しいのでしょうか? すごく不思議そうな顔でコチラを見ていました。
 
 ネコのお陰で元気が出て更に強行、遂に付きました。田本駅入り口です。「←田本」と書いてあります。信じられませんがこれが入り口です。笑いたければ笑っても良いです。

 事前の情報ではこの駅入り口を示す表示、もっとシケた看板でしかも傾いていて、まさか駅への看板と思わないから皆が通り過ぎそうと散々な評価だったのですが、この道より一つ向こうの道が新しく舗装されたときに看板も付け替えたのでしょうか? もう少し丈夫そうになって少し目立つように赤く縁取りされていました。

 裏側から見たところです。コチラ側からだとまったくもってなんの印か判りませんね。向かいの飲料自動販売機はこれもまた有名な田本駅への目印で「駅で喉が渇いたら30分かけて登って買え!」というネタでも有名なのですが、写真の通り車で来てわざわざ停めて買うといったあたり地元民にとっては結構利用価値の高い自販機のようです。これからはこれを見て笑うことまかりなりません。

 田本駅に到着したのが13:50、そこからここに到着したのが16:45。途中雨宿りを含めていますが都合3時間程の行程。距離としては大したことはないのですが、やはり高低差があったのでこれだけの時間がかかってしまいました。さて、田本駅へは当然この小径を斜面に沿って降りていって初めて到着するわけですが、この日は近くに(!)宿の予約を入れており、明日は田本駅から出発して某所へ、の予定を立てているためイヤでもこの小径を下って駅へ出なければイケナイ予定です。時間の関係もあり、旅そのものの行程はそのまま更に道沿いに登って宿へ向かいました。いつもながら記事が長大になってしまったこともあり、一旦ここで終わります。残り田本駅までの徒程については、また後日。*2

*1:じゃあ何故貴重な予算を使って工事なんかする! とかのサヨクみたいなツッコミはナシで

*2:ただしここから先、多く好事家共がWeb上での報告多々あることもあり端折る可能性も一応、期待はせずに