奇兵隊、みんなで渡れば恐くない

 非常に狭い世界に住んでいる。職場の人ともあまり交流がないので、その外の人との繋がりも殆ど無い。そんな自分が、最近になって初めて「ゆとり」と呼ばれる世代に属する大学生と接する機会があった。
 彼は最近20歳になったと云うことで、1年ほど前に初めて国民の権利の一つを行使する立場になったという。
 その後すぐにその権利を行使する機会を得た。それまで行使した経験のないそれを初めて行使するに当たって、彼は回りの雰囲気を重視することにしたという。「自民党にお灸を据えよう」。

 現在、彼はその選択を激しく後悔しているというが、一方で初めて投票した選挙で経験した「そのような」事態を奇貨として自身の持つ権利の重さを理解し、次回はもっと慎重を期して投票所に向かうという。この純粋な前向きさはゆとり教育の為すモノなのか彼特有の資質によるモノなのか、それともただのポーズなのかはよく判らない。

 そんな自分の判断に後悔頻り、今後の重要な判断への糧としようと固く心に誓う彼に聞いてみた。「次の機会にはどのような政党・党首を支持、投票する」か。若さが則希望であること、その若さ故に理解している様子のない彼は屈託無く答える。「確固とした信念と実行力を持って政策を実行する(党や)人。そのためには多少強引でも目をつぶる。むしろ強引な方が期待できる」とのこと。

 ちなみに、文学部在学中と云う彼にワイマール共和国の終焉について聞いてみた。よく知らないらしい。私は将来ある彼のために『我が闘争』を読むことを勧めた。彼は最近本を読む機会が減ったという。彼とはその後、『信長の野望』のキチガイじみたゲームシステムについて談義を咲かせた。