松江市「大巾屋」


 の、ねこ

 松江市は言わずと知れた城下町でかつての町割りの名残が感じられ、そう思いながら町を巡ると古い家々などは「武家風」「職人風」「商人風」の面影を感じるコトも出来ます。ただの思い込みかもしれませんが。

 松江城の北側お堀沿いにそのまま「武家屋敷」と銘打つ区画(塩見縄手)が残されていて観光地になっております。少なくとも私が住んでる場所ではそうそうお目にかかれない街並みの佇まいは楽しいのですが、先祖代々ど平民の私にとって心安らぐ街並みと云えば商家職人のお住まい召される町人街に他ありません。松江城敷地内にある観光案内で正直にその旨お話ししたところ「それでは」と紹介されたのは宍道湖大橋渡った南側、なんだ今回お宿をとった辺りではないか

 ちなみにお宿のある辺りから宍道湖挟んで向かい側、主に飲み屋街の並ぶ一画、古い商家がそのままに並んでいたりして、宍道湖河岸の景観がまた映えて泣きそうになるほど素敵な風情。

 幸せは実はすぐ近くにあるという、そんなコト言ってるから幾つになっても夢みてぇなこと言ってるヤツがいなくならねぇんだよ小さな実例ですね

 そろそろ話題はお泊まりのお宿大巾屋さんの方へ。

 宍道湖の湖畔に建つお宿、残念ながら湖畔を望むお部屋には泊まれなかったのでお部屋から優美に赴きある松江の街並みを望むこと叶わなかったこと非常に残念ですがこのお宿、建物の作りは商人宿と言った佇まい。現に私外のお泊まり客は皆お仕事で、と云う風な様子。案内された二階のお部屋は、一人申し分ない広さの純和室。朝夕食事は希望すればお断りして素泊まりにすることもできますので利用の仕様によってはほとんどお宿の介入を受けることなく、且つ快適さもそのままにまさに印象は商人宿のサービス。

 ただしお風呂は共用なので帰るの遅くなりすぎて迷惑はかけないように。

 さて、冒頭脈絡ネコが出たことに「またか」と舌打ちする方もいらっしゃるかもしれませんがこちらのネコ、歴とした旅館の付属品です。

 もちろん、こちらのお宿にこんな付属品が付いていようコトなど事前に知る由もありません。別に狙ったワケでないのですが、私の場合何故かねこ宿に泊まる率が高いような気がします。

 宿にネコがいるとそれはしばしばその宿で一番エライ場合が多いのですがこちらもご多分漏れずその模様で、当方でネコの所在を尋ねた際おかみさんが敬意を込めて(?)「あのひと達」と呼んでいたのがとても印象的です。

 エライと云ってもそこはお客商売、ネコを好まぬお客もいるコトを想定してか、宿のあちらこちらに始終ネコが寝っ転がっているという事態は無く、お客の居ない時間を見計らって適当に放している様子。で、私が宿泊初日たまたま遅くに着いたおかげでいきなりネコと邂逅する、ネコ大きいの足にまとわりつく、小さいのスリッパを噛むの歓迎を受けてもしかしてタイミング如何によってはネコとすれ違いのまま会うこと能わずの場合もあり得たかもしれない、この頃の我がネコ運の強さを実感するコトともなりまして

 それを知ってかネコども大層な歓迎振り。おかみさんによるとこのひとたち、来る客尽く友好的というわけではないらしくいきなりここまで歓迎の友好振りは珍しいと。やーいうらやましいだろー

 宿なので夜は寝ます。寝て起きたら朝です。朝食を摂って部屋に戻りも一度下に降りると朝ねこです。遊びたい盛りの小さいのに大きいのが付き合って夜下階は大層な運動会で、そのテンションのままたまたま寒かったこの朝、ヒーターの前で運動会の余韻に浸っているようです。 

 「ねこどこですか?」少々の散歩より帰るなりそう尋ねる泊まり客、今の時間夜の疲れで休んでいると食堂へご案内。なるほど半目半眠りの表情で椅子に寄りかかる。

 その様がまるで拗ねてるようでコレはコレでよい。昨日から身支度そっちのけでねこばかり撮る客に少々あきれている様子もうかがえる。コーヒーを入れてもらいながらおかみさんが言うには「こうやって時々撮った写真をWEBにあげてくれる人もいるが何故か尽く無愛想。まるでいつも無愛想みたいでこういう時くらい少しは笑えば良いのに」と。大丈夫、良い表情撮れました。けどおかみさんがWEBのチェックをしているということはあまり余計なことを書けないなと。

 まあ余計なこと書くこともなく、もしもネコが居なかったとしても心安らぐ良いお宿だったと思う。コレにネコが付いてるんですから文句のあろうはずがない。ねこ大きい方は「大巾屋の大デブ」小さい方は「大巾屋の小デブ」、あまりになつかれすぎて遂にお二人の本名を聞く機会を逸してしまいましたが、嘗て足をケガして入院、迎えに行くと短期間の間あまりに巨大化していたのに驚いたと、以来ダイエットの試みも必死の抵抗で水泡と帰して今の体型を保つ大きい方、まだ生後数ヶ月、順調に成長の真っ盛りそれを差し引いてもやっぱり太り気味だと小さい方、とても良いお宿でした。

 旅館 大巾屋 http://www2.plala.or.jp/oohabaya/facilities.html