三笠市内、炭鉱の痕跡を求めてウロウロ歩く その4

 (http://d.hatena.ne.jp/sans-tetes/20101118の続き)

 件の鉄製巨大建造物に近づくために、とりあえず、現在も稼働中の工場の関係者に見つかると面倒なので、余り人目のつきにくい場所を選んで近づきます。すると

 例の建物とは反対側、北側山の斜面に沿ってこれもやはりなにやら巨大な建物、巨大と云ってもこちらは横長に巨大なのですが、建物の形状から云って最近のモノでは無さそう。コレは一体?


 「人目につかない」条件にはこちらも合致してるためまずはこちらの建物に近づくことにします。

 入り口の形状からこの建物、鉄道関係の遺物なのではないでしょうか? ひとつ判るのは現在は施設としての利用はされておらず、放置同然の状況らしいと云うコト、人目につく可能性は低いと同時に何があっても知らない、所謂自己責任と云う行動の責務を追わなければならないと云うことです。何があっても知らないよ。

 かつて線路と恐らくはバラストが巻かれてたであろう建物正面から進入すると、重厚な扉に蒸気時代の面影。後で調べた情報によってこちらの構造物「石炭ポケット」つまり採掘・精錬した石炭の貨物列車への積み込みを行うための施設とのことで、テツ側の言い方では「ホッパー」と云う名称が知られていますが中には「ホッパ」と「ー」を付けない表記伸ばさない発音もあるらしくわざわざ伸ばさないところなんかこちらが正式でないかと思わんでもないですが

 正直「パ」の伸ばし様などどうでもよろしいなどと道でつぶやこうモノなら道内とは云え日ハムフリークのみならずパリーグ信者全般ににどつかれそうな気がしないでもない、そう思うのはココら一帯閉山後も豪放な炭鉱気質の今なお残る空知地域だからではと、ちなみに私も昔は立派なパリーグフリークでした、と云うお話はともかく

 実際に工場内関係者に見つかるとタダじゃ済まない雰囲気は建物の醸し出す異様な雰囲気共々感じられ、建物入り口(?)上部カギ型に曲がったアノ造形、何か繋ぎ止めていて繋ぎ止められなかった何かに見えて私はキライでないです、と云う私の嗜好はともかく現役時何を繋ぎ止めていたのでしょう

 建物の中、床に水。水溜まりでなく流れてます。季節柄雪解けのと云うわけでは有り得ませんので何処ぞの山より零れて流れとなりぬの峰よりおつるみなのがわと陽成院気取ってもなんの得にもなりゃしねぇしここはちゃらちゃら流れるお茶の水と寅次郎気取るが身の丈と、要は建物内よりの流れ、意外に綺麗な沢の如くなっているのです。これは多分相当年まともに使われた建物ではないな、と 

 中です。

 と見せかけて思い出したかの様に入り口屋根部分。見ての通りの多層構造、何か爆風で吹き飛ばされたかの如き有様ですが全て風化の為すがままにあると思われ

 炭鉱より運ばれた列車の停車する一階部分、現在当然の如く列車などありません。列車はおろか線路もありません。

 レールに代わり地面には夥しき小動物(たぶんキタキツネ)の足跡。諸行無常と吹かしたい気分なれどその冬毛のもふもふ振りを思い起こせば頬の綻びを止めることはできないと、けど相手は病原体持ちと考えてみれば河豚か花魁だね、きゃつら

 廃線後一時期倉庫やら何やらの別の用途を供していたのでしょうが屋根部のアレ具合にビビって放置の方針になった様子見て取れます。

 写真にはありませんが当然の如くこの一階部分の屋根部分、二階部分の床になってる部分があるのですがそこが恐らく現役時から思われるコンクリートの梁、二階部の床となっている所々穴の開いた平面部、穴の開いた床を補修のつもりかただテープでブルーシートを貼り付けた補修、それが所々水分が溜まって負け出た贅肉の様に膨れている、の状態があちこちそれはもうところ狭しにくんずほぐれつと云う表現はたぶんこの場では使わない。

 まあ要するにこの建物内当然の如く使わない使われないなりに崩壊の足音を感じさせ、かの足跡だけを残して早足に駆け抜けていった小動物でなくともできることなら早足に不安の凝縮する天板の下を離れたいと

 入り口の方こそぬかるみ多かったモノの反対側の出口に方は湿気の気配少なく地面幾分歩き易く

 足元気に留める必要薄らいだ分頭上に気を遣い、その頭上の危うさにますます歩を早め

 徒歩にて建物抜けて改めて、今まで満喫していた建物の巨大さに重満喫

 その佇まい、今や殆ど馴染みの無くなった炭鉱鉱山貨物列車関連施設のその用途をまず推理しなければいけないハードルの高さに比して今でもやや馴染みのある機関庫に似る

 その用途推理の貴重な材料建物に掲げられた額、かろうじて「工場」の文字が読み取れるのみ。

 それでは当時、何の用途を供していたか

 当初何となくその用途の推測が出来ていた様な気もしていたが改めてこの建物の巨大さをしてその推理の結論を失う

 只間違っても

 隣現在稼働中工場脇、放り捨てるような倉庫成れの果て有蓋車の存在が、残骸と化した貨物車両の存在が図らずもこの建物の在りし日の姿の名残となるかのようであった、などと陳腐な言葉の締めくくりを軽快に妨げて、やはり、炭鉱の施設はそれ独特の佇まいと匂いを醸し出し、その場に相応しい鉄道列車の類もやはり特殊にして独特の佇まいを持たねば全く持って釣り合いが保てぬのだなぁと

 目指す次の建物に向かいながら思うのでした。(続く)