蝦夷駒ヶ岳どうぶつ街道

 ツーリングマップルも時々いいことを終えてくれる。件の地図に「駒ヶ岳が見晴らしのよい」と書かれた無名の道路を走った時の顛末です。

 確かに駒ヶ岳がよく見えるのですが笠かぶっていたりお日様の位置とかで駒ヶ岳自体はうまく撮ること能わず

 視点は自然駒ヶ岳を背景に沿道山麓に広がる牧草地に視点が下がっていきました

 その瞳相変わらず一点の曇りない完全草食動物

 こいつらなぜか異様に物見高く、こっちが遠くの方から写真を撮ってるいると

 「なんだなんだ?」「なによなによ?」

 あっという間に草食ってる牛全部が近づいて来やがりまして

 中には思いっきりカメラ目線。どーでもいいけどタグピアスと有刺鉄線目隠し、おまけに猿轡、ハードコアっぽくて草食っぽくない

 何を期待しているのでしょう? カメラを下ろしてこちらが離れかけて何も出ないとわかったからでしょうか? こいつらはわらわらと散っていきました。その背中からは明らかに舌打ちとか「なんだよ」「冷やかしかよ」「行こうぜ行こうぜ」の声が聞こえます。

 でももうちょっと立ち去らずに何か思わせぶりに佇んでいると

 再び顔を覗かせてきますからこいつらの物見高さはホンモノです。

 北海道ではおそらく「野次馬」のコトを「野次牛」とでも云うのでしょうか、以降用もないのに近くに集めるのは牛さんたちになんだか悪い気がして牧場を見ても牛さんたちに隠れて写真を撮るようになりました。

 そしてこちらが隠れていいると普段は隠れている奴らが姿を見せるモノです

 今までの道行中姿を見せてもその警戒心の強さから一度たりとも留まっている姿を晒さなかったキツネさんが

 あろう事か道路の片隅に隠れる様子もなくふらふらと

 以降こちらの様子を気にしている風は見せながらも道路脇草陰に隠れるような仕草は見せず、どういうワケか道々延々こちらを先導するかの如き動きを見せて、その野生動物にあるまじき行動たるや不審と云えば不審、かといって動物の先導好ましからざる筈もなく、ここは相手がイヤと言うまで付いて行こう

 そうこうして暫く、突如キツネの後ろを振り返り留まるを思うことありと感じて期とする

 偶然かそのキツネの留まるすぐ先の脇道

 これまでの道行きに何ら関連性を得ない駅の姿。普段のなら予想外の駅の出現僥倖とする事であるのにこの時に限ってはあまりの必然性の無さ唐突さに狼狽するばかり、

 当然の如く車影人影望むべくも無い。が、北海道ではごく普通。

 なんだか煙に巻かれたような、少なくとも己が嗜好を手玉に取られるまま先導された只今の有様、キツネに化かされたとするのが最も手頃な比喩である。まあ化かされたとしてもひどく秋風に頬撫でられた程度のひどく心地よい化かされ方でこのように化かされるならいつ化かされてもよいと、件の化かし主まだ姿が見えれば礼の一つも告げようと再びその姿を追えば

 どうもホンモノだったらしく

 行った先、姿を見失った先

 見ての通り、稚拙故の風味豊かな手作り鳥居を構える稲荷神社の奥。

 これだけの経験をしたのだから、これはきっと蛇足というのだろう

 同道路上、エゾシカ

 特急さんはちょっとクレイジーですグッドデストロイキューティーハニー〜♪ あ゛〜余香が全て消し飛んだんだわ! おまえホント蛇足! 鹿足! エゾシカの登場で全ての余韻を根本から壊滅的に粉砕。後はこれ以上の動物の出現を、例えばヒグマなんかの登場せぬ事を願わずにはいられない、これから七飯の廃鉱跡へ。 

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