尺別鉄道線廃線紀行その2 尺別原野

(http://d.hatena.ne.jp/sans-tetes/20140221の続き)
 はからずも尺別駅の事など歯牙にもかけぬ風に振り子かっ飛ばして通過していく釧路行きスーパーおおぞらを頃合いとしてこの去り難く無窮に良き思いに包まれること約束された駅前を後にする事にします。後にする目的は本来の「廃線行」

 お手軽に線路跡を辿るためには一端尺別駅から大回り、釧路国道と根室本線との間に横たわる荒野を避けた方が無難のようです。見ての通りというか見なくてもほぼ雰囲気でわかると思いますが釧路近く、いよいよ本格的に例えばこの時期になると普通に田の畦をタンチョウがウロウロしてる道東の荒野、湿地のようであり秋枯れの草の墓場のようでもあり足下詳らかならざる中を何の装備もなく歩く、あるいはバイクで突っ込むほど当方無鉄砲ではありませんので。廃線跡は駅構内から西側件の原野を突っ切って伸びていた様子、もはや何となくにしかわかりません。

 実は国道側から駅方面への廃線跡、現在なんかの作業用にダンプが行き来していてそのダンプの行き来している道が線路跡そのもののようなのですが、お決まりのように「立ち入り禁止」こんなもん自己責任という責任放棄と同等の便利な言葉でもって無視しちまえばええといえばええのですが、さすがに平日、作業の真っ最中に潜り込むのも後で面倒のタネになるとこの日はあきらめてやりました。運の良い野郎め。

 さて「尺別原野」と云う言葉、釧路国道音別方面から向かっていると看板に表れる言葉で、国道からみても正真正銘「原野」の言葉に嘘偽りない風景が広がり、昔は歴とした市街地があったのに今はその面影もないことを記憶の端に留めておくためそれらしい俗称を与えたのかと思いきや「釧路市音別町尺別原野基線」という住所なのだとのこと。住所未確定地がゴロゴロしてる北海道なのですから取って付けたような名前でも100くらいマシと言う事でしょうか

 そして更にマシな事と云うかもはや僥倖と云うべきか、国道から先の廃線跡、相も変わらず原野荒野遁野を突っ切って何もない方へ向かっているのですがその路盤跡がささやかな未舗装路として行く手諸手を挙げて歓迎してくれている。繰り返して申し上げますが大変ありがたいのでこの先も道路に沿ってバイクで向かいます、って云うか遁野ってなんだよ。

 草の生い茂ったまま朽ちるに任せている尺別駅周辺と違って国道から先は一部湿地帯の様子。路盤跡の道がなければ膝くらいまでずぶずぶ抜けてしまう事必定な様相は

 保線・・・もとい架線の、またまた訂正送電線の管理用にこのように渡し然とした木道の存在によって尚一層の確信を持ちます。確信はともかく中々画になる。

 道はそのまま相も変わらぬ荒野を所々カーブも交えて進んでいきます。

 未舗装路に時々エゾシカの蹄跡。この道はお前らのために残したのかい?

 以降しばらく変化無い周囲風景の一方橋の登場で道の方には軽い変化。あるいは鉄道橋の橋脚を補強なりしてそのまま使ってしまいか、いい加減遺構の登場を飢える心も少し躍る

 どうも違うらしい。

 考えてみれば途中鉄道にしては急なカーブもあったワケだし必ずしも路盤跡を完全に辿った道を造ってるわけでも無いのかも

 そんなん昔の地図と今の地図と地形図を照らし合わせれば一目瞭然なワケですが、ワタクシいつも廃線行では地図持たない地形図持たない事前情報と勘だけを今まで貫いてまして、今回も正にそのままで、まあ、何というか、いつか古井戸にでも落ちて死ぬな。

 ところで橋を渡った辺りから周辺景色、変化。荒野一辺倒だった沿線風景は荒野の向こうに淡い緑の牧草地が見えるようになり少し心も和むように。

 牧草地の主役ウシさんの登場は正に心のオアシスと言えましょう。クサイけど。牧草地は旧路盤道周囲まで迫り

 数も増えたウシさんたち、見慣れぬバイクに皆反応。ああ可愛い!

 その後道は少し大きめの舗装路に繋がります

 今まで恐らくは道と一体化していた鉄道路盤ですが、舗装路に出ると以降尺別駅方面を背に道路の左側、それとわかる筋がしばらく道路に沿って進みます

 恐らくこれが路盤でしょう

 道路、線路跡周囲全て牧草地でその中を突っ切って行く形。

 あ、お馬

 親子連れの親馬の方がバイクの動きに合わせて少しぱっかぱっかと。仔馬はきょとんと。かわええ〜

 とまあ要はずっと牧草地を突っ切っているのですが道なりややしばらく行って変化があるのが

 少し鬱蒼とした林にさしかかる辺り鳥居に「八幡宮」の額。この周囲にかつて「八幡前」駅があったとのことですが、その駅名由来のわかりやすさと安易さに比して見た限りで駅遺構は何も確認できません。道路から分岐して「八幡宮」鳥居前をかすめていく未舗装路が線路跡で周囲が駅構内の、はず

 脇の小川をのぞき込むと何となくバラストっぽい砂利がぶちまけられてるのでまあ当たらずとも遠からずとしておきましょうか

 ここから先、未舗装路を直接通行するのは避けて未舗装路(路盤跡)の先と思しき場所まで少し大回りします

 すると路盤跡は舗装路を離れてなんか林の中明らかに人のいない方人のいない方を向かって行きます。最も道東元々人いませんけど

 再び未舗装路。旧路盤跡らしいまっすぐな道でとてもさびしい

 寂しさや直ぐに収まる秋の蝿、あれあれ?どうしたのかなこの先

 まさか鉄道時代からの遺構であるまいに、小川を渡す小さな木橋がものの見事に真っ二つ

 バイクやトラクター、軽トラで突っ込めば大惨事でしょうが、そんなに大きくない川、飛び越えれば何のことなく、何のことなく何となく、鉄道時代の遺構っぽい石の土台

 この先進むとしてもバイクはここで置いてくしかないなぁ(つづく)