犬神!俺は先生とやったぜ。しかも続けてな。

sans-tetes2007-03-15

トンデモ映画夜話。今更ですが・・・。本日は三本目「狼の紋章」についてのお話。
なんか原作は超有名な小説らしい。小説はあんまり、しかもSFはまず読まないので知りませんでした。ごめんなさい。こんな話とは知りませんでした。作りが雑すぎるのとオールナイト三本目の睡魔に勝てず途切れ途切れ意識を失ったこともあり、目覚める度に展開している違う話がまるで別々の話のようで(雪山で母親が毛唐に小屋もろとも撃たれたり、私服の高校生がリンチされていたり、リアル面倒終太郎みたいな松田優作が刀振り回したり、そうかと思えば白フンになって屋敷の中に常設されているらしい拷問室みたいなところでヒロインをレイプしていたり、頭だけ犬の着ぐるみのなんかが画面の中を動き回っていたり)、つまり、それぞれが謎に満ちていて読み手に意図を容易に悟らせないオムニバス、まるでユメ十夜といったような勘違いをしてしまう内容でした。
その中で特に印象深かったシーン。
1、オープニングとエンディングで「幼年時代の主人公が叫ぶシーン」、叫ぶ声が何故か「や〜うぇ〜」と脳内変換された。
2、たまたまトンでいたのかもしれないが、オープニングでもエンディングでもスタッフロールが流れなかった。
3、羽黒家の家紋が、菊の御紋章を鷹が犯してるみたいでやばかった。タコじゃなくて良かった。
4、羽黒家の子分達が、半裸の先生を鎖で吊って折檻しているところがあまりに無意味で笑えた。
5、主人公の狼へのメタモルフォーゼが頭だけで、しかもその着ぐるみが微妙に可愛く、全然緊迫感のない中敵をガシガシやっつけていた。

この映画、本来だったら歴史の闇に消え去る筈だった典型的その他大勢映画である。ところが「原作が有名であること」と「松田優作の実質デビュー作だったこと」で、「松田優作伝説を彩る」「知る人ぞ知る」存在として一部の好事家の目に止まることを運命付けられる。それでも扱いとしてはお店の、好事家達の棚の片隅に、「何かのきっかけがないと手に取ることのないDVD」として、ひっそりと眠っていることが正しい余生のあり方のはずだった。ところがその内容の「とにかく作りが雑」「それに伴う内容的な不条理」等、映画そのものの与える強烈なインパクトは観者をして容易にその記憶から消し去ることを困難とし、さらに別のジャンルの好事家達の目に止まることとなり、こうしてアンダーグランドな日の目を得て、松田優作伝説に新たな彩りを添える事となった希有な作品なのではないだろうか?