吾妻ひでお『逃亡日記』

 毎度の事ながらワンテンポずれていて申し訳ない。苦しみながら最近読み終えたので。

 で、この本、かの大ベストセラー『失踪日記』の兄弟本、他に『うつうつひでお日記』と合わせて「日記三部作」と言うそうな。帯にはそう書いてある。つられて手に取り中身を見ると、「失踪時の話」から始まって、一旦先生の「生い立ち」、「デビュー当時」その後現在の大ブレイク?に至るまでのいろいろなエピソードをインタビュー形式で延々と述べたモノ。ここまででわかると思うし、作者自身も前書き漫画で述べているが、要するに件の大ヒット作を受けてそれに続けとオコボレに与ろうと出版社・編集者がほとんど考えないで作った「何匹目のドジョウ」的な本。ただそれだけといってしまっても良いかも。
 だいたい出版社からして「日記三部作」すべて違う出版社から出てるというところかしてなめてくさっていると取られても仕方ない。ある意味この業界の逞しさというかみみっちさというか、そういう体質を非常にわかりやすく垣間見れる点がおもしろさと言ったらおもしろさか?
 それで内容は・・・基本的に『失踪日記』を読んでないとわからない内容。この辺もあんまりと言えばあんまりなんだが・・・。基本吾妻先生のコアなファンの為に作られたような内容で、せいぜい「不条理時代」以降しか知らない私にとっては知識が及ばずとまどってしまう話が多くて中断中断しながら読み終えたという感じ。もっとも吾妻先生の語るエピソードなんだから多少興味があるなら十分に笑える話も多いのだが。
 ここまでで、あまり手放しで誉める文にはなっていないと思うので、「では何故おまえは買ったんだ」という疑問に答えなければあまりに敬意を欠いていると言わざるを得ないので話しますが、実は、巻頭のグラビアに・・・あの吾妻先生が失踪時にお世話になった思い出深い土地土地を、途中で何故か「妄想」と称してメイドの格好した女の子と一緒に訪ねるアレに大変受けてしまったので・・・