『ナージャの村』

 前回観た時は「原発問題ドキュメンタリーオールナイト」ということもあって寝てしまいました。ので本日観直し。
 さて、作中大きなテーマとなているのが「原子力発電の負の部分」であることは確かなのだが、あからさまに「原子力開発」を非難する言葉は出てこない。当然問題の根本にそのことがあるという前提で映画は始まるので婉曲的な、柔らかい表現でそれらはあちこちに出てきてはいるが、意識的にそれらを見ないようにしてみても、不思議と別のテーマとしたドキュメンタリーとして観れてしまう。大地と共に生きることこそ人としてあるべき正しい生き方であると言いたげな作者の意図がよく読める。
 かと言って、その大地とそれに伴う営みを破壊したモノに対する何よりも得体の知れない恐怖を描くことが抜けているわけではない。登場する村人の一人のセリフ「かつてナチスは何万人もの村人を殺したがそれでも村は生き残った。ところが今度のヤツで村は滅びようとしている」、それにすべてが集約されている。