平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』

 読んだのは大分前ですが。
 まさしく平山夢明先生のもつ才の旨味の一部分を、絞り出し、煮出し、当に「ドロドロした」という形容がよく似合う液状のモノとして取り出し、冷やして固めてなお、言い知れない香りを湛えた珠玉のエッセンスとするに相応しい一冊。
 この本を知人に薦めて、しばらく後、その知人からの隠しもしない嫌悪感を感想と共に得られた時の、未開の民にバイブルを読み聞かせる宣教師よろしく、自分がまるで選民であるかのような優越感を錯覚する快感。平山先生を好物とする感性に産み育ててくれた両親に感謝。
 平山夢明先生への免疫をつけるワクチンとして、本書を体内に接種してみては?