『ハンガー』

 なんでも、「吸血鬼映画の最高峰」なそうな(VHS版の裏書きより)。だいたい吸血鬼映画ってなんだ?ベラ・ルゴシが出演してるああいうヤツ?『プラン9・フロム・アウタースペース』の脱力さ加減は「観る人の生き血を吸い取るが如く、身体の力を奪いさる」という意味で吸血鬼映画に当たるのだろうか?
 正直、出演デヴィット・ボウイの名前につられて観たようなモノ。地元の中古レコード屋の路上に出してあったワゴンに放り投げるように置いてあった本作、300円というあんまりな値段でした。正直「この値段なら損はしないだろう」と思って購入。
 見所は、「醜く老いさらばえていくデヴィット・ボウイの変化(ラストのアレも本人なんだそうな)」「カトリーヌ・ドヌーブスーザン・サランドンのカラミ」。この三人が好きでないとはっきり言ってツライ。私はデヴィット・ボウイが棺桶に葬られて一時登場しなくなった中盤、寝てしまったのでもう一回見直す。
 自他共に認める美男美女がスクリーンを行き交い、時々FUCKしての映画なんて誰が観ても鼻持ちならないに決まってます。この映画、肝心の内容、「一組のカップルの破局と新たな出会い。ただ普通と違うのは彼女らが吸血鬼だったということ」、なんだか掴み所がないように見える。なので、そのように見る人もいると思う。私はねぇ、自らの美しさを臆面もなく表情に出しながらも、とても受け入れがたい出来事に怯えながら右往左往するボウイの暗さが好き。この暗さが、後半の「女同士のFUCK」を更に印象深いモノに。まあ、総じて暗い雰囲気に演出している映画なんですけど。「お好きな人にはたまらない」のでしょう。
 それにしてもみんな若くてきれいだな。