『ハダカの城〜西宮冷蔵・水谷洋一〜』

 おっさんてね、本当はすごく格好良い生き物なんですよ。格好良いといっても外見だけのことではないですよ。おっさん、というか男にしかできないことをやる、できる、からこそ物凄く格好良いんですよね。行動と態度で示せば、外見は後から付いてくる。
 この映画の主人公、西宮冷蔵水谷社長。雪印食品の国産肉偽装事件を告発、代償として自らの会社も経営危機に陥った(と言っても、その「危機」は、業界挙げての報復とも言える政・財・官によって仕組まれた袋叩きに等しい)ものの、梅田の歩道橋で、世の中に筋を問い、文字通り筋を貫く姿、頭のてっぺんから爪先まで、どこを見ても格好良い。
 ただ、いつまでも「このようなバカげたこと」のシンボルとなってしまうことを、当然のことながら水谷社長は望んでいない。水谷社長のセリフ、「そんなこともありましたねぇ」と笑って言えるように、そうはなれない世の中、それこそどうしようもない悲劇。