『おそいひと』

 「きもちわりぃ」とか書いたら、無条件にどっかの団体さんとかから差別だとか言われんだろ。別にきもちわりぃのは障碍者が人を殺すからじゃなくて、変なノイズミュージックをバックにモノクロ画面で光線が乱反射するように飛び散った人間の体液の表現が妙に間脳に障ったからであって、別に障碍者が気が狂って人をぶっ殺しまくる描写について、特に眉をひそめる類の感情は抱かなかった。良いじゃないですか、映画における人殺しのバリアフリー化。何より「障碍者ならではの小道具の妙」は絶品。ボイスマシーンが語る無機質な「コロスゾ」。これほど恐ろしい「コロスゾ」、夢に出てきそうだ。
 なんつうか、洗礼者ヨハネの首を持ってこいって命じたはずなのに、盆に乗せられてきた首はピエロのメイクしたジョン・ウェイン・ゲイシーだった、みたいな感じがすごく良い。