その十一 流山市芝崎「祭神不明 藪の中の祠」

sans-tetes2008-02-22

 十一社目にして遂に奉り主のわからない祠。下手したら個人の敷地の個人でお奉りしている社かも。
 場所は、車ががんがん通る県道沿い、小高い丘を登りながら道は雑木林に突入、周囲は鬱蒼、周囲に気を配っていなければ普通に歩いていても見過ごしてしまう程の、獣道と見まごう入り口。この入り口の向こう、「かつて」は朽ちかけた鳥居が存在していた。「かつて」とは言うものの、実際は今でもその朽ちかけた鳥居は存在しており、その前面、道路側にここ数年以内に建てられたと思われる鳥居が建てられている。鳥居の奥、周りは木々に囲まれて、石造りの祠、神様は静かに鎮座する。昼なお鬱蒼、なかなか神秘的。向かって右側、神域の周縁に、ほぼ同じ作りの祠があるいは打ち捨てられるように置かれている。かつてはこの祠が鎮座し、代替わりして今の位置に置かれることとなったのか。両祠共に、電灯を近づけて表面を丹念に確認するが、文字の存在は確認できず、何れの依代がこの地に着するが遂にわからず。この鳥居の建て方から、或いはお稲荷様を奉った祠か。
 新たな鳥居は、何ら装飾の施されない簡単な造り。或いは奉納者自らが組み立て納めた物か。境内に賽銭箱もないため、他にこの祠への崇敬を表す奉納物は石灯籠が一対、やはり「自作テイスト」に溢れた、実際に灯籠として使用できない単純な造り。この祠の、場合によってはたった一人からだけかもしれない愛され具合、大変好き。「他人の大切にしている空間を踏みにじりたい。けど私も愛してますから悪気はないのです」的な自虐的雰囲気を味わいたければ、こちらへどうぞ。御賽銭はお忘れなく。