その十九 朝霞市下内間木 『氷川神社』

sans-tetes2008-03-10

 すぐ近くに荒川、ここは朝霞市の外れである。バイクを減速させたとき偶然目に入ったのと、バイクを止めるだけの広い駐車場があったので立ち寄る。
 時刻は日暮れ時、境内は閑散、鳥居近くに銀杏の巨木が目立つ。境内は割合広く摂社・末社の数は大小結構な数、またお堂はないが小さな不動明王の石像に嘗ての神宮寺の存在も想像され、地域の社としての盛衰がありありと浮かぶ。
 摂社・末社の内、西側に並ぶ小さな数社、奉神名の解らないことが遺憾。不動明王像二体はやはり西側の並び、摂末社より一段低く並ぶ。とはいえ、何れも同様の格式で奉られている様子がわかる捧げられた御幣。
 本社は素朴ながらも立派な造り、黒ずんだ木の板壁、一方で西に傾きかけた氷川神社の巴紋が照らされ金色に輝く。東側には「富士浅間社」「天神社」「八幡社」となかなか立派なお顔触れ、中でも浅間社はほんの少し高めの陵に鎮座して、恐らくは申し訳程度の富士塚、精一杯の横着さは却って神聖の証であろう。
 富士塚に登り浅間社の向く方を眺めれば、今にも沈もうとするお日様。ただしお日様の沈む先は地平線でも鎮守の森でも家々の並びでもなく何故か山と積まれた土建の足場。神社の西側一帯は資材置き場となっている様子。まあ、土地柄であろう。先程から聞こえるバイクのエンジンをアイドル音は、どうやらその足場の麓から聞こえてくる様子。と、鳥居の前を帰り支度をしたバイクが走り去って行く。いい加減、もう帰宅の時間である。