その二十八 横浜市鶴見区本町通 『本町観音』

sans-tetes2008-03-19

 バイクの低速走行中にいきなり転倒するのはすごく格好悪いな。観音堂の目の前で転ける、まぁ、これも縁です。
 横浜市鶴見区にある長い長い本町通商店街、東側の端っこ近くの赤いお堂と赤い幟が目に止まる、とは言ってもそれに気を取られて事故まで起こすのは希でしょう。バイクを起こしてから、頭にあるのはどう誤魔化そうかということばかり、なんかお堂の隣の時計屋の主人が顔を出しているし。決まりが悪いので近くに見えた郵便局に行く振りをしてすぐ戻り、お堂の前のベンチで何かメモを取る振りをする。今考えると恥ずかしい上になんだか怪しい気がする・・・。
 どうも、目立つのはお堂が赤いせいだけではない。先程の隣家の時計屋さん、お堂側の壁に何故か一面『不思議の国のアリス』らしき絵(トランプ王・アリス・ウサギ)、道を挟んで向かい側からなんだか「ぎゃー」とか「うわー」とか叫び声、で、爺さん婆さんが座って揉めている。叫び声は向かいの老人専用のカラオケ屋から響いている様子、そのせいばかりでもないが、周囲御老人が多い。時間帯のせいもあろうが、これは古い商店街を抱えるこの地区の特徴であろう、商店街を歩くとデイケア施設が数カ所目に付く。
 ただその年寄り達がアリスの絵を前に観音堂を拝んでいく姿はやはり変。先程の叫び声と合わせてこの観音堂一体は不思議で緩い空気に充満、この空気にひっかかってバイクが転けたのはこれはもう必然なのでしょう。
 赤い観音堂は小さく、金物造り。赤いペンキの箔と周囲の素朴な意匠が大変武骨な趣を醸し出し、この手作り感がこの場所に凄く合う。お堂の入口は開かれているモノの、幾重かの御簾に覆われ肝心の観音像は見えない。どういうお姿か、大変気にはなるモノの、何故か御簾を開けてまで中を覗き見ることは憚られたので、外から参拝。後は目的の千社札、これもお堂には一枚も貼られておらず、私の一枚だけ貼ることは少し憚られたモノの、「あまり目立たない」「自分の背より高い場所」に強行。ペンキの箔の上からだとノリが悪いので、剥がし易いです。不都合あればご自由に。