その四十 さいたま市桜区道場 『馬頭堂』

sans-tetes2008-04-13

 まっすぐ道なりに走れば近いのに、途中で脇道へ逸れる。通称浦所線、所沢方面から荒川を渡ってすぐ、北浦和方面には向かわず右に曲がる。そのまま行けば浦和駅方面だが更に途中更に右に曲がりさいたま・戸田の境を目指す。別に意味のある行動ではなく、ただ単に長くバイクに乗っていたいだけ。
 走る道に沿って、いつの間にかドブ川が現れる。道とドブ川がぶつかりそうになり、道の方がドブ川を避け緩いカーブを描く傍らに馬頭観音を奉るお堂が現れる。
 「道中無事でありますように」馬頭観音に縋る痕跡の残るこの道は意外に古い道、お堂の脇にもっと古そうな石仏四体、裏手には古木、堂域、一方の縁は件のドブ川によって仕切られている。このドブ川、恐らく昔は田んぼに縁ある用水路、若しくは小魚泳ぐ小川、何れにせよこの一体、嘗ては一面田の広がるのどかな風景、今や、住宅地の谷間になんか臭ってくるドブ川の畔。
 観音さん、時を得て随分とお顔立ちがのっぺり。合わせたお手ものっぺり。屋根が付いたのは極近くと想像される。ただ、のっぺりとしたお顔に微かな笑顔。体全体の風化具合が丸みを帯びているようで可愛いお姿。現在の馬頭さん、バイクは功徳の範囲外でしょうか? とりあえず祈るは旅の無事、と言ってももう帰るところだけど。
 意外にもお堂に多く千社札。あちこちお札奉納していると、大体貼る場所決まってくるモノで、他の先達方も大体そのポイントを押さえて貼っている。ここ、お堂があまり大きくないと言うこともあるけど、貼ろうと思う場所全て先達が占拠。貼る場所探してお堂を巡るが、境界ぎりぎりまで迫る道路を走る車がこれまた結構なスピードで走っているので道にはみ出ないように気を付けていると、気付かず脇の石仏に足で触れる。ああ、巡礼始めて一番の不作法。大変申し訳ねぇ。
 せめて、こんな所に突っ込んでくる不作法な自動車がないように。