その五十一 新宿区荒木町 『金丸稲荷神社』

sans-tetes2008-05-09

 前回と同じ四谷は荒木町に鎮座するお稲荷様。狭い道を抜けようとして大通りに抜けようとすうと、いきなり石の鳥居、鳥居を潜ってちょっと危険なほど急な石段を登るとこのお稲荷さんの横っ腹に来る。社の位置も、狛狐の向きも、入口とはそっぽを向いて大通りへ向かうが、大通りとは柵でもって隔てられ、一見檻のよう。恐らくは、区画整理時、道を広くしたことの名残。そのこと差し引いてもやはり狭い、が高いところにあるお稲荷さん。がこの広さで、多くの奉納提灯並び、なかなかの繁盛振り。奉納者に多く、料亭・置屋・芸妓さんらしき名前が色っぽく地域柄をよく表す。
 提灯だけでなく、あまり広くない境内に色々と建造物多し。割を食ったわけでもなかろうが、本殿は小さめ、こぢんまりと鎮座。千社札奉納の場所を確保するために社自体をしげしげ眺めると、社の横側に松の下、多くの稲束の中に鈎をくわえてと佇む狐の浮き彫りあり。何かの縁起を元にしているとは思うがわからない。ただ、描かれたお狐はなかなかに精悍な面構えなのがこれはこれで格好良い。ので思わず撫でてみると手に黒く埃が付いた。
 今は昔と大分辺りの様子も変わってしまったでしょうに、当然氏子さん達も多く入れ替わったでしょうに、それだけで色々気苦労も多いでしょうに。けどこのイレギュラーな立地、名前に付いた「金」の文字、意外とステキなお稲荷様です。