その五十三 さいたま市大宮区大門町 『倉屋敷稲荷神社』

sans-tetes2008-05-11

 昔の大宮市役所、今の大宮区役所のお隣、区役所庁舎が相も変わらず建っているのとおんなじように、こちらも昔から相も変わらず鎮座している。昔は寿能城近くに奉られていたのとのこと。寿能城って県営団地の中、産業道路に面して碑がぽつんと建ってるだけで遺跡が存在するのかよくわからないあれ。あんなとこにあったらお稲荷さんもツブされていたかもしれない。こちら、大宮市街に移ってかなりのご繁盛はおなじみ稲荷鳥居の数によく表される。良かったですね。
 ただし、そこはやはり市街地の宿命、参道と本堂・摂末社のみ残して後の敷地全て道路と庁舎に取られて、お陰で境内が物凄く細長い造りで、正面から見たら奥へ奥へと誘う鳥居の姿、その奥で風に揺られからからからから、ここからは見えない絵馬の音が異界チック。庁舎とは反対側、道路との境がほぼ安っぽいブロック塀なんだけど一カ所だけ「脇参道」扱いの入り口が開いててそこに鉄製の柵門と一応の赤い鳥居。ブロック塀の中にそんな入口があるもんだからなんだか普通のお家の勝手口みたいだ。「チワー三河屋でーす」ってアレ。
 が、見くびるなかれ。本殿の立派で威厳のあること、こんな狭い境内であるのがもったいない。ちゃんと社務所もあるし「初午」の参拝を奨めるプロパガンダ(注、ただの看板)もばっちりだし、なかなかちゃんとしてる神社。裏手に金比羅さんと天神さんが控えてて、あらゆる願いがオールマイティにばっちこ〜いな完璧振りにもう脱帽だ。
 真面目に本当に御利益はスゴイんです。参拝したのは件の長野行き の直前、当然「同行者共にケガなく無事に帰れますように」のお願い、あんな戦場みたいな状況で見事成就(ケリ入れられたけど)、ちゃんとお礼参りは済んでます。
 役所の、役所らしい作った光が境内に一応の明かりをくれる。もちろん作った光は境内にもあって、夜間の参拝にも困らない。昔は酒飲んでの帰りがけよくこの前を通ったな、そう言えば。ただ通り過ぎてただけだ。御利益の程は解りましたのでたぶんまた何度も来る。「心穏やかに過ごせる世界が来ますように」。