『ビルマ パゴダの影で』

 「あんたねぇ、趣味で映画観るっつうコトはだいたいが自分が楽しむために観るモンでしょ? それを何で好き好んでこんな重い暗い映画ばっか観るワケ? 俺にゃぁ理解できねぇよ。」
 「これが俺の観たいコトなんだよ。だいたい今の世の中、俺らに関係あるにもかかわらず、俺らの知らないところで世界の人々が如何に虐げられてるかなんて情報、身近なメディアではほとんど触れられないでしょ? なぜか今の世界はどっかに平和な国があるとどっかに紛争してる国があって、でもって何故かその平和な国と紛争してる国とはどっかでつながりがあって、何故かそのバランスで世界が成り立っていて・・・。」
 「なに山田玲司みたいなこと言ってんだよ。ヤングサンデー終わっちゃうな、関係ないけど。だいたいミャンマーは紛争国じゃないだろ?」
 「俺は紛争国の厳密な定義はよく解らないけど、平和的な市民デモに向かって無差別に機銃掃射したり、この映画で描かれているように『少数民族を多数民族でないからといって国軍が虐げ、それに武器を持って反抗する』様子は紛れもなく紛争だと思うぞ。『多数派でない』ことが住む場所を追われる理由になるなら地球上に日本人なんか存在する理由なんか無くなるだろ? で、何でそんなところに日本は税金を使って資金援助してるんだ?」
 「なんだよ、話題がそっちに行ったな。要するにお前はミャンマーで行われていることが日本のお隣の中(以下検閲によって削除)」
 「(全文検閲によって削除)」
 「なるほど、お前の言いたいことは大体解った。けどな、せっかくの良いお天気の休みの日にわざわざ東京出てきて暗い映画館で暗い映画観て楽しいのか?」
 「すぐに感情移入して自分のことのように暗く悲しい気分になって、何もできない自分に対してひどい自己嫌悪が湧いてきます・・・。」
 「お前マゾだろ。」