『ランボー 最後の戦場』

 これ、ラストシーン後、エンドクレジットの後の描かれていない本当のオチはあれだな、「俺の家だ」とか言って親父に邪険にされたランボーがブチ切れてその後『ランボー(第1作)』に戻るんだな(ウソ)。
 今作は前作にも増して「反戦」を強調、映像技術の進化に合わせて「弾に当たったり地雷を踏んだらこうなっちゃうよ」という残虐演出と、一方で相変わらずの「非アメリカ人による」非道っぷりが強調されていて、わかりにくい「ミャンマー情勢」をノー天気な皆さんにわかりやすくて見せているのが良い。数十年の時を得て、白人主体の傭兵達の持つ最新ライフル、国家平和発展評議会軍(やってることの善悪はさておいて、このわかりやすすぎる偽善的名称は好き)側のカラシニコフ系の改造銃、ランボーの弓矢、それぞれの飛び道具の対比がシリーズの伝統を受け継いでいて解りやすくてこれも良い。
 どっかの(たぶんテレビ)映画評で「今作でランボーは初めて自分のために戦った」とか言ってたけど、全然そんなことなかった。履歴書に「職業→無職(自由業)、賞罰→ベトナムでベトコンに拘束・何とか勲章受勲・名誉除隊(最終階級中尉)・アフガニスタンソ連軍に拘束 得意なこと→人殺し」としか書けず、普段はタイの山奥でヘビ取ってる、それでなんかの拍子でフラッシュバックが起きると大暴れせずにはいられない。こんなヤツが「自分のために戦」ったら、アメリカで上映できないと思うがどうか。
 「悪いヤツ登場」→「ランボーへの覚醒者登場」→「動機発生」→「行動」→「ちょっとピンチ」→「最後に大反撃」、基本的なこの流れが懐かしかったしここでランボーが暴れたってミャンマー軍政がどうなるわけでない救いのない話だということがわかっているので、その次元とは切り離されたランボーと傭兵達が反撃して敵軍を壊滅させるアクションシーンは素直におもしろく、爽快だったのは確かですよ。「ランボー」なので深く考えても仕方ないとも言えるし、深く考えるきっかけになるとも言える。そこがやっぱり『ランボー』なんだな。ちなみに私は深くは考えたくなかった。