『精神のけもの道〜つい、おかしなことをしてしまう人たちの話〜』於青山ブックセンター

 一本の箸でところてんを食べる人の比率・・・123人中3人(会場から)。
 春日武彦さんと吉野朔実さんの著書の出版記念イベントに穂村弘さんをゲストに招いてのトークショー。お題の通り「踏み越えてしまう」人々が思う「その思考・行動」が「その縁に立っていること」の証なのかどうか、出演者それぞれの体験を交えながら考察。のはずが、「動物園で土下座をしている人に対する興味と憧れと失望」のお話をきっかけに、他のお二人より圧倒的にその体験が多そうな穂村さんのほぼ独壇場といった感じに。まあ、結論(と言えるか?)から言えば、そーいう体験をうまく生かすために、普通に生活するための感性を受容する回路より、普通に生活する上では役に立たない、むしろ著しく妨げとなるような感性を受容する回路が発達している人(穂村さんは両回路を「昼」と「夜」とも表現している)は頑張って表現者になれぃ、と。その昔手塚治虫が漫画の中でそんな悩める若人への回答に「漫画家等のクリエーター」と「過激派」への選択肢を示した話があって、昔は今より選択肢が多かったと思った、いや変わらないのか? どちらかというと夜型人間が間違って昼の生活に紛れ込んでしまった場合はどうしよう。
 私的には、職業上のお立場から圧倒的に他者のその様なお話のネタが豊富と思われ、尚かつ趣味的にそーいう体験を収集するのがライフワークともなっている(?)春日先生が司会&いじり役に回っていたので先生のお話があまり聞けなかったのが残念。春日さん、吉野さんと交流のある平山夢明さんの話題がちらっと登場したとき春日さんが「またここで」と提案したとき吉野さん一瞬困惑したよな。けど、また是非。
 一本の箸でところてんを食べる習慣は、確かにその人のライフスタイルと密接に関わった極めて複雑な背景がその背後に存在するものの、その行動そのもの及びその行動を取る人そのものを夜型と断定するのは早計です。たぶん。