『ワンダーJapan(8)』

 私のような田舎者にとってまともに目を合わせられない程恐れ多い東京人をも鼻でせせら笑う住民が大挙して住んでいる街がこの日本にあるという。なんでもそこは実は未だに日本の首都だという。天皇さんは一世紀ほど東京に「御幸=仮住まい」中なのだという。あなおそろしき手前勝手。
 と言うわけで、関西圏と言うだけで言葉とノリの壁に躊躇してしまう私にとって、「伝統」という一言の重みのみに恐ろしく敷居の高さを感じる京都が今回の本書の特集。本書片手に新幹線で(テツなら京都線で)上洛すれば、あなたを迎えてくれるのは東寺の大仰な屋根でなく京都タワーの赤い屋根。住民の警戒を解くため日本の伝統「蝋燭」に見立てたタワーに、当の住民は警戒することはせず初めからなかったことにしているらしく、いつ行っても地元率0なんてエピソード、これで大分敷居も下がる。ああいつの日か、この本片手に行ってみたい行ってみたい、行って軽蔑されたい秘密の京都。
 いや、本当に行ってみたいです京都。