『緋牡丹博徒 お竜参上』

 熊坂虎吉(若山富三郎)の突然の登場に、初め何が起こったかさっぱり解らず混乱。が、物語を通して観てみると、このちょびヒゲ親分の大暴れが一番の派手な見所と言うことがよく解る。そして、この親分、あんな形して赤紙が来るお年頃ということに二度目の衝撃。
 なんか、主役の藤純子とゲストの菅原文太が何やったかいまいち思い出せない。物語の核をあまり追わず気付いたらどうでも良いことが気になって気になって。例えばまだその他大勢で出ているけど将来名を成す役者を数えていたりとか、鳳啓助・京唄子演ずる汁粉屋のおもろい(元)夫婦とか。
 このシリーズの他作を観たことないのが無謀だったのかな? 他に渡世人世界の生業・掟に付いて精通していればお竜(藤純子)と常次郎(菅原文太)の中途半端な行動の意味がもっと見えてくるのかもしれないけど。特に常次郎の控え目さ、それそのものは美学という言葉で表すに足モノだとは思うが、その裏付けをもっと詳しく知っていればまた違った見方が出来たかも。後でちょこちょこ調べてみると、渡世人と地元の親分の関係とかしきたりとかが結構きっちり描かれていて、その一方で敵方ヤクザのやってることが「その筋」を理解して観るといかに非道かということがよく解ってすごくきっちりと作ってある様子はよく解る。いずれにしてもこの手の映画を観るのにはきっちり準備をしてから観た方が断然面白いであろう事を理解。ただ、渡世の生業であるはずの肝心の博打のシーン、命まで懸けようとする気概と緊張が伝わらず、これは自分の理解不足を差し引いてもいただけないとは思った。どーも感覚的な感想で恐縮だが。